はじめに

  ●「秘伝 うぇぶたまの書」43ページに掲載されました。「227項目」とありますが、「277項目」(編集当時)の誤植です。

●このブログは、野球で用いられる、有名無名の人物による、さまざまな法則的言い回し(きまり文句)を集めたものです。編者による「話芸“きまり文句”辞典」の姉妹ブログであり、野球も一種の「遊芸」であった時代があったことから、「芸」をめぐるさまざまな金言・名句の宝庫であると考えて作ってみました。ココログさんの「ブログ虎の穴」のインタビューを受けたときに「次に野球ものをやってみたい」などと口を滑らせたのが間違いでした……。私は演芸に関しても同様ですが、ただのお客に過ぎないので、これは、いわゆる選手向けの「プレーの上でのセオリー・心得」を網羅しようというものではありません(そういう実用的テキストは既に技術書となって刊行されていますので、そっちを参照してください)。観客にとっての野球というスポーツの中の「法則」、歴史的な名言のたぐい、しかも文学的・汎用的含蓄というか感興に富んだものを拾いました。こういう金言・名言は、1980年代以降とんと聞かれなくなったような気がします。「含蓄」があるかどうかを採用基準としているので、野球史に残る「名言」であっても、採用しなかったものも多くあります。ともあれ、ファンの一人として、野球とそれを語る言葉が復活するようにという願いをこめて作成してみました。現在278項目を収めています。

 この「小辞典」には、今日では不適切な表現にあたる用語・言い回しが出てくるかも知れません。発言者が差別助長の意図で使用していない場合に限り、一種の古典表現とみなし、原典のまま引用します。リンクフリーですが、孫引き(三次利用とでも申しましょうか)などの際は、編者にご一報下さい。

(2005年12月・編者)

テクノラティプロフィール

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「バッティング二十則」

橋戸信(頑鉄)の「最近野球術」(博文館・明治38年)に、
「シカゴ、アメリカンリーグの運動記者であるゼツセ、マツテソンは、
打方に関する諸大家の説を綜合し、二十則を作りて後進に教へたり。」とある。
その「バツティング二十則」(一部新字体に改めた)。

一 バツトは稍(やや)重き物を選び、之を確(しつか)り持て。
二 果敢なれ。
三 恐るる事勿(なか)れ。
四 如何なる悪球に対しても、後へ逃げるな。
五 最初の球を打たんと勉めよ。
六 決して審判官に理屈を云ふな。
七 球に深き注意を払へ。
八 バツトは早く短かく振れ、長く遅きは大禁物。
十 投手が投げんとする球種を予想するな。
十一 汝の眼力は球の速度よりも速かなるものなり。
十二 右にて打つよりは左にて打つ方が利益
十三 汝の打たんと欲する所へ打て。
十四 如何なるカーブの種類に対しても動ぜざるの用意が肝要。
十五 敵の投手は汝の弱点を熟知せるものなり。
十六 第一塁に走者ありて、ノーアウトなる時は、必ず犠牲球を打て。
十七 バンテイングは野球術上最も緊要なる一要素なり。
十八 ストライクならざる球に対してバントをする事勿れ。
十九 本塁と一塁間に於て躊躇する事勿れ。
二十 敵の投手に対して綿密に観察せよ。

この「二十則」、特に含蓄は認めないので、「きまり文句」に採用はできないが、
明治時代末の日本野球の打撃セオリーはこのようなものだったと思われる。
おそらく、日本での送りバントの多用はこのあたりが根拠になっているのであろう。

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