[お]で始まる語句・ことわざ
お医者さまでも草津の湯でも(おいしゃさまでもくさつのゆでも):【意味】「草津節」より。医者でも草津温泉の効能をもってしても、恋の病は治せない。つける薬がない、ということ。「惚れた病は治りゃせぬ」と続く。(講談・小野寺十内、落語・薬違い、阪東お彦=派手彦、胆潰し)
老いては子に従え(おいてはこにしたがえ):【意味】年をとったら何事も子供に任せておけ、ということ。かつては「家にあっては父に、嫁しては夫に、老いては子に」従うのが婦人の道、いわゆる「三従」であるといわれたのであるが、この言葉は男に対しても使われる。(講談・鼠小僧次郎吉、勤王芸者、赤穂義士本伝、落語・桃太郎)(参照)→幼にして父母に従い、嫁しては夫に従い、老いては子に従え《い》
花魁は足袋屋にばかり借りはなし(おいらんはたびやにばかりかりはなし):【意味】昔の花魁は絶対に足袋屋に借金はしない。彼女たちは足袋を決して履かなかったからである。(落語・高尾)
(山の繁れるを見ては)桜花咲き誇りたるを見ては春を知り、妻恋う鹿の鳴く音を聞いて秋を知り、春風秋雨夢の間に巡りて早○年(おうかさきほこりたるをみてははるをしり、つまこうしかのなくねをきいてあきをしり、しゅんぷうしゅううゆめのまにめぐりてはや ねん):【意味】講談で、長い年月があっという間に経過したことを述べるためのきまり文句。「光陰矢のごとく、月日に関守なく」というよりは多少もっともらしく年月が流れたような印象を聴衆に与える。三年経つ場合も七年経つ場合も十五年経つ場合もある。(講談・徂徠豆腐、柳生二蓋笠)
黄金多からざれば交わり薄し(おうごんおおからざればまじわりうすし):【意味】多くの人を結びつけてある計画を実行しようとしたり、商売を興そうとしたりすれば、まず先立つ資金がなければ人を惹きつけられない、話にならないということ。(講談・由井正雪)
負うた子に教わって浅瀬を渡る(おうたこにおそわってあさせをわたる):【意味】「三つ児に教わって浅瀬を渡る」と同義。知恵の優れた者が、劣った者から教えられることもある、ということ。(講談・梁川庄八、肉付の面、寺坂吉右衛門、野狐三次、落語・池田の牛ほめ)(同義)→三つ児に教わって浅瀬を渡る《い》
負うた子よりは抱いた子(おうたこよりはだいたこ):【意味】背中におぶった子より前に抱いた子の方をあやす=疎遠な者より身近な者を大事にするのが人情だということ。(講談・本所五人男)
合うたり叶うたり(おうたりかのうたり):【意味】→「願ったり叶ったり」を参照のこと。(講談・薮原検校、落語・立切れ)
逢魔が時(おうまがとき):【意味】夕方の薄暗いとき。たそがれ。暮六つごろ。何かと災いが起こる時間帯であると言われる。(講談・梁川庄八、妲妃のお百)
近江殿御に伊勢子正直(おうみとのごにいせこしょうじき):【意味】次項をフォローするために作られたパロディ表現。男は近江、伊勢者は正直、ということ。次項を了解していないと意味が分からない。(講談・笹野名槍伝)
近江泥棒伊勢乞食(おうみどろぼういせこじき):【意味】上方者を「贅六」と呼ぶのと同様、江戸っ子が地方人を不当に蔑視して言う表現。近江・伊勢の商人は江戸で節約を旨として財産をなし、のし上がることが多かったため、それをやっかんでこのように罵倒したのである。近江・伊勢の者は油断できないということ。(講談・後藤半四郎)
お浦山吹(おうらやまぶき):【意味】「おうらやましい」。「うらやま」を「浦山」としゃれ、そこへ「山吹」を語呂合わせしている。(講談・鼠小僧次郎吉)
大雨にたらい家中這いまわり(おおあめにたらいいえじゅうはいまわり):【意味】雨漏りのする長屋住まい、大雨の日は盥が家中をいそがしく移動するのである(ドリフのコントにこういうのがあった)。(落語・野ざらし、干物箱:ただし語順異なる)
大あり名古屋は金の鯱(おおありなごやはきんのしゃち):【意味】「もちろんである」の強調表現。(落語・居残り佐平次)
大男総身に知恵が廻り兼ね(おおおとこそうみにちえがまわりかね):【意味】体ばかり大きく、愚鈍な男を嘲弄する表現。こうした見かけ倒しの豪傑が講談にはよく出てくる。(講談・吉田忠左衛門、宮本武蔵、天保六花撰、岩見重太郎、寛永御前試合、慶安太平記、西郷南洲、落語・素人相撲)
大きな時計に小さい時計、どっちも時間が同じだ(おおきなとけいにちいさいとけい、どっちもじかんがおんなじだ):【意味】当たり前のことをさも意味ありげに歌う、無意味な都々逸。(落語・湯屋番)(類義)→雨の降る日は天気が悪い、親父俺より年が上、姉と妹に年問うてみたら姉は姉だけ年が上
大食大酒は芸の中(おおぐいおおざけはげいのうち):【意味】大飯喰らい、大酒飲みも並はずれれば一種の芸である、ということ。(落語・備前徳利)
大阪さかいに京どすえ、兵庫神戸のなんぞやぞい、長崎ばってん、江戸べらぼう(おおさかさかいにきょうどすえ、ひょうごこうべのなんぞやぞい、ながさきばってん、えどべらぼう):【意味】日本各地の代表的な方言を並べた俚諺。(落語・テレスコ)
大寒小寒、山から小僧が泣いてくる(おおさむこさむ、やまからこぞうがないてくる):【意味】ひどく寒いとき「おお、寒い」という言葉を「大寒」と言い換え、「小寒」をつけてわらべうたの歌詞にしたもの。元は「~猿のべべ借りて着しょ」といった。元は上方の唄。(落語・夢金、胴取り)
大承知の入道前の関白太政大臣(おおしょうちのにゅうどうさきのかんぱくだじょうだいじん):【意味】「法性寺の入道前の関白太政大臣」(偉い人物の長い肩書きの典型例。「百人一首」の中の最長人名に因む)藤原忠通の名にかけて、「すっかり承知した」と言う時に使う洒落。(講談・寺坂吉右衛門)
おおたばな(おおたばな):【意味】「大束な」。大まかな、大ざっぱな、ということ。「大束の薪」(錦の袈裟)などともいい、「大言壮語」の意も。(講談・赤穂四十七士伝、落・あくび指南、夢金、胴取り、ふだんの袴、梅若礼三郎他)
大鳥より小鳥(おおとりよりことり):【意味】正しくは「大取りより小取り」。一発大もうけを狙うより着実に少しずつ儲けた方が賢い、ということ。(落語・お直し)
大根を洗ふ(おおねをあらう):【意味】「元はといえば」「根本原因を追及すれば」の意。(落語・子別れ)
大船に乗った気で(おおぶねにのったきで):【意味】(参照)→親船に乗った気でを見よ。(落語・氏子中)
大間違いの鬼子母神(おおまちがいのきしもじん):【意味】洒落言葉。「恐れ入谷」ではなく、「大間違い」に「鬼子母神」をかけることもある。(講談・旗本五人男)
大晦日の晩に寝るやつは馬鹿(おおみそかのばんにねるやつはばか):【意味】明治時代まであった諺。特に関東では、除夜には亡くなった人が来るという信仰から、物忌み・御霊まつりをする習慣があった。日暮れとともに歳の神が来るので、家内みな身を慎むのであるともいう。一夜飾りを避けたり、眠るという言葉を使わず、夜更かしをするのである。大晦日に早く寝ると白髪や皺が増えるという俗信もあった。(落語・御慶)
大家(家主)と言えば親も同然、店子と言えば子も同然(おおやといえばいやもどうぜん、たなこといえばこもどうぜん):【意味】家主(貸家の持ち主)と、店子(借家人)の関係は親子同様である、という意味(だから大家は肉親同様に店子の面倒を見るのが当然である、という意味)の諺。(講談・鰯屋騒動、薮原検校、落語・寝床、小言幸兵衛、団子兵衛、らくだ、二十四孝、樟脳玉、ふだんの袴、天狗裁き、小間物屋政談、一文惜しみ、お化長屋他多数)(類義)→名主と言えば親も同然、小前と言えば子も同然
おかざりの数をくぐる(おかざりのかずをくぐる):【意味】人として長いキャリアを経ること。年功を積むこと。それによってしたたかな人物になること。(講談・清水次郎長、汐留の蜆売り、赤穂四十七士伝、寺井玄渓)(同義)→橙の下をくぐる(類義)→鳥居数が少ない
岡惚れも三年すれば色のうち(おかぼれもさんねんすればいろのうち):【意味】大して知り合いでもない人や、他人の恋人に脇から勝手に惚れることを岡惚れ(仮惚れ)というが、そんな恋でも三年続くようであればいっぱしの恋愛関係なんだという(惚れた側の自分勝手な)諺。(講談・鼠小僧次郎吉、落語・つるつる、心眼)
岡目八目助言は無用(おかめはちもくじょごんはむよう):【意味】囲碁で、対局している人より、むしろはたから見ている人の方が八目先を見通すものだ。しかしながら、はたからしゃしゃり出て指図するようなことは無用である、ということ。(落語・碁どろ)
起きて半畳、寝て一畳(、天下取っても二合半)(おきてはんじょう、ねていちじょう):【意味】織田信長が言ったと噂される言葉。どんな豪邸に住んでいても、座るのに半畳、寝るのに一畳あれば足りる(天下を取っても一日に食べる米は二合半である)。富貴を望んでもつまらない、ということ。(講談・水戸黄門、柳生三代、落語・江島屋騒動)
起きて見つ寝て見つ蚊帳の広さかな(おきてみつねてみつかやのひろさかな):【意味】加賀千代女(一七○三~一七七五)が夫の死を悲しんで作った俳句だと伝えられるが、実は別人(遊女浮橋?)の作品。「広ければ入ってやろうかお千代さん」という雑俳がある。(落語・雪てん)
沖の暗いのに白帆が見える(おきのくらいのにしらほがみえる):【意味】紀伊国屋文左衛門が蜜柑船で富を築いたのち、吉原仲の町の叶屋という引手茶屋で芸者幇間をあげて遊んだ際、幇間が芸者に命じて歌わせた俗謡(かっぽれ)の文句。(落語・短命、芝浜、播州巡り)
奥歯に物のはさまったような(おくばにもののはさまったような):【意味】ストレートに腹の内を出さず、何となくいわくありげではっきりしない相手の物の言い方。(落語・算段の平兵衛)
奥山にもみじ踏み分け鳴く蛍しかとは見えぬ杣のともし火(おくやまにもみじふみわけなくほたるしかとはみえぬそまのともしび):【意味】太閤秀吉が下手な連歌に凝って細川幽斎やお伽衆の曾呂利新左衛門を困らせるのだが、「奥山に紅葉踏み分け鳴く蛍」と作ってしまい、蛍が鳴くわけがないので収拾がつかなくなった。幽斎は「武蔵野の篠を束ねて降る雨に蛍よりほか鳴く虫もなし」という古歌がある、と嘘をついてその場をごまかす。下の句をつけるように迫る太閤に、幽斎が示したのがこれであった。(講談・曾呂利新左衛門)(参照)→武蔵野の篠を束ねて降る雨に蛍よりほか鳴く虫もなし
怠らず行かば千里の果ても見ん牛の歩みのよし遅くとも(おこたらずゆかばせんりのはてもみんうしのあゆみのよしおそくとも):【意味】「~千里の末も見ん」とも。たとえスローペースであっても、毎日地道に努力を積み重ねていけば、きっと遠大な目標に到達することができる、ということをダイレクトに歌った教訓歌。(講談・田宮坊太郎、落語・浜野矩随)
おこわに掛ける(おこわにかける):【意味】ぺてん、詐欺にかけること。または美人局に引っかけること。(講談・新吉原百人斬り、落語・居残り佐平次)
お先煙草をする(おさきたばこをする):【意味】客として招かれた先で接待に出された煙草を吸うこと。自前の煙草を吸わないこと。(落語・湯屋番)
お酒飲むのも芸のうち(おさけのむのもげいのうち):【意味】見ているだけであきれるような豪快な酒の飲みっぷりというのも、人の一芸のうちに入るものである。(落語・高田の馬場)
お酒飲む人花なら蕾、今日もさけさけ、明日もさけ(おさけのむひとはなならつぼみ、きょうもさけさけ、あすもさけ):【意味】「咲け」と「酒」をかけた都々逸。(落語・試し酒、棒鱈他)
惜しい花ほど散りたがる(おしいはなほどちりたがる):【意味】美人や才子のような惜しまれる人ほど、生き急いで早く亡くなってしまうのが世の中というものだ。生きていてほしい者が死に、どうでもいいような者が生き残る。(講談・清水次郎長)(参照)→美人薄命
教えざるは親の罪、覚えざるは子の罪(おしえざるはおやのつみ、おぼえざるはこのつみ):【意味】子に教育を施さないのは親の落ち度であるが、せっかく親から教育の機会を与えられながら学ばないのは、子供が悪いのである、という諺。(講談・梁川庄八)
教育なき者は禽獣に近し(おしえなきものはきんじゅうにちかし):【意味】しかるべき教育を受けていない者は人間というよりもより動物に近いのだ、だから子供には学ぶ機会を与えろ、子供は大いに学ぶべきだ、という戒め。(講談・誰が袖音吉)(参照)→文字知らざれば理に疎し
教えぬことはかえって覚えやすし(おしえぬことはかえっておぼえやすし):【意味】目上の者がためにならないから教えようとしないような、ろくでもないことに限って、若い者は知りたがるものである、という諺。(講談・大岡政談安間小金次)
鴛鴦の番いの楽しみ(おし(どり)のつがいのたのしみ):【意味】夫婦仲の良い(いつも一緒にいて飽きない)様子。たとえばアツアツの新婚所帯。吉良の仁吉・おきくの夫婦仲もそうだったのだが……。(講談・清水次郎長)
惜しまれる人は早く死ぬ(おしまれるひとははやくしぬ):【意味】人に慕われ、必要とされる人に限って早世し、残るのはどうでもいいような者ばかりだという嘆き。(落語・真景累ヶ淵)
おじゃれ(おじゃれ):「こっちへ(泊まって)おいで」と呼びかける言葉に由来。宿場の宿屋の下女のこと。(講談・重の井子別れ)
教ゆる者は針の如く、教わる者は糸の如し(おしゆるものははりのごとく、おそわるものはいとのごとし):【意味】物を教える人と教わる人(師弟)の関係を裁縫の糸と針に例えたもの。良い教師の迷わず導くまま、素直に教え子は育つ。または技芸の上でそのような師弟関係であれば弟子は必ず上達する、ということ。(講談・伊賀の水月)
遅いようで早いのは流言(おそいようではやいのはりゅうげん):【意味】人の口から口へデマが伝わるのは、時間がかかるように思えるが、あっという間であるということ。(講談・荒木又右衛門)
畏れ入谷の鬼子母神(おそれいりやのきしもじん):【意味】「おそれいった」と入谷をかけた洒落言葉。(落語・ぢぐち=地口合せ他)
恐れ入り山形に二ツ星(おそれいりやまがたにふたつぼし):【意味】「恐れ入った」の洒落言葉。「入り山形に二ツ星」は「吉原細見」にある最高ランクの花魁をいう。(落語・山崎屋)
怖ろしき鬼の姿を尋ぬれば邪慳な人の胸に住むなり(おそろしきおにのすがたをたずぬればじゃけんなひとのむねにすむなり):【意味】地獄の怖ろしい鬼というのも、煎じ詰めると、実は現在生きている我々の時に冷酷な心理そのもののことに他ならぬ、という道歌。(落語・木火土金水)
織田がこね羽柴がつきし天下餅座りしままに食うは家康(おだがこねはしばがつきしてんかもちすわりしままにくうはいえやす):【意味】天下統一の事業を信長・秀吉に完成させておき、それに従いつつ、最終的にその天下をさらった徳川家康の「狸爺」っぷりを揶揄する狂歌。(講談・村越茂助、木村長門守の堪忍袋)
煽動(おだて)ともっこには乗りたくない(おだてともっこにはのりたくない):【意味】かつて「もっこ」に死刑囚を乗せて刑場に運搬したことから、決しておだてに乗せられて行動してはならないという戒めをいう諺。また、「おだて」とは長持のような運搬道具で、「おだて」にしても「もっこ」にしても、乗せられたらまず助からない罪人であるので、こういうという説もある(「圓生古典落語」の「汲みたて」より)。(講談・笹野名槍伝)
おたまりこぼしがあるものか(おたまりこぼしがあるものか):【意味】「そんなことがあってたまるか」に「おきあがりこぼし」をもじった表現。(講談・安中草三郎、落語・庖丁、万金丹、胴取り)
おためごかしの言い手はあれど、まこと実意の人はない(おためごかしのいいてはあれど、まことじついのひとはない):【意味】見かけは「あんたのためを思えばこそ」などと言いながら、腹の中では自分の利益を考えるだけの相手はいくらもいるが、本当に親身になってくれる人はめったにいないものだ、という諺。(講談・清水次郎長、朝顔日記、落語・湯屋番)
小田原評議箱根相談(おだわらひょうぎはこねそうだん):【意味】天正18年、豊臣秀吉に包囲された北条氏直が長い軍議を行ったが結論を出せず、滅んだという故事にちなみ、長々と無意味な相談をすること。(講談・本所五人男)
落付く先は九州相良(おちつくさきはきゅうしゅうさがら):【意味】浄瑠璃「伊賀越道中双六・沼津」にある有名な文句。(落語・居残り佐平次)
落ちぶ(零落)れて袖に涙のかかる時人の心の奥ぞ知らるる(おちぶれてそでになみだのかかるときひとのこころのおくぞしらるる):【意味】作者不詳。今までまっとうな暮らしだったのが零落して、涙が袖にこぼれるような時にこそ、今まで調子よくつきあってきた人たちの本当の心が分かってくるものである、という意味の教訓和歌。(講談・清水次郎長、正直車夫、勤王芸者、越後伝吉、大高源五、本所五人男、落語・鼠穴)
おっこち(おっこち):【意味】「すっかり参ってしまう」「惚れる」「はまる」ことをいう。江戸から明治にかけて流行った表現。(落語・樟脳玉)
押取刀(おっとりがたな):【意味】突発事態に、慌てて腰へ刀を差す間もなく、がっと掴むこと。とるものもとりあえず。(講談・祐天吉松)
おつもり(おつもり):【意味】納盃のこと。「この一杯でもうおしまい」という盃のことをいう。(落語・一人酒盛)
男が喧嘩をするなら、仲直りをするような喧嘩を決してするな(おとこがけんかをするなら、なかなおりをするようなけんかをけっしてするな):【意味】博徒・国定忠治が子分に残した教訓。男が喧嘩をするなら、相手の命を取るくらいの気持ちでなければならず、後で酒を飲んで仲直り(手打ち)できるような喧嘩ならするべきでない。本気で戦う気がないなら、少々のことは笑ってすませることだ、という意味。(講談・国定忠治)
男が好うて金持で夫で女が惚れるなら仙台高尾を切りはせぬ(おとこがようてかねもちでそれでおんながほれるならせんだいたかおをきりはせぬ):【意味】いい男で金持ちであるというだけで女がなびくようなら苦労はない、間夫があるため仙台侯の意に従わず手討ちになった高尾太夫の例もある、という意味の歌。(講談・玉菊燈籠)
男心と秋の空(おとこごころとあきのそら):【意味】男の女に対する気持ちというのは、秋空のように移り変わりやすいものだから女は安易に気を許してはならない、という諺。(講談・西郷南洲、落語・お見立て、バスガール、紺屋高尾、牡丹燈籠)(参照)→変わりやすきは男子の常
男というものは三言しゃべれば氏素性が現れる(おとこというものはみことしゃべればうじすじょうがあらわれる):【意味】男の多弁を戒めた言い回し。しゃべればしゃべるほど、地金(卑しい本性)が露わになってしまう。(落語・米揚げ笊)(参照)→言葉多きは品少なし
男に寝顔を見せたる女は去る(おとこにねがおをみせたるおんなはさる):【意味】妻というのは亭主より早く起き、遅く眠らねばならないので、夫に寝顔を見せるような女は離縁されるべきである、ということがかつて言われていた。また、女の寝顔や寝姿は見苦しいからこう言うのだ、という考え方もできる(女の寝乱れ姿に幻滅し、「こんな女に迷った俺が馬鹿だった」と主人公が我に帰るという場面が講談には出てくる)。(講談・伊賀の水月)(参照)→亭主に寝顔見せるのは女の恥
男の子は男につくのが習い(天下の定法)(おとこのこはおとこにつくのがならい):【意味】夫婦別れをした場合、男の子は男親の元に、女の子は母親の元に引き取られて行くのが世の中の常識というものであった。(講談・菅谷半之丞、幡随院長兵衛、天野屋利兵衛、落語・子別れ、真景累ヶ淵)
男は敷居をまたげば七人の敵がある(おとこはしきいをまたげばしちにんのてき:かたき:がある):【意味】男が世の中で活躍しようと思えば、必ずたくさんの敵を作らなければならない。(落語・転宅、厩火事、星野屋、子別れ、縮み上り、寄合酒、真田小僧、酢豆腐)
男は度胸(おとこはどきょう)(、女は愛嬌、坊さんお経、おサルにラッキョウ):【意味】男には度胸が、女には愛嬌がなによりも大事である、という諺。(落語・らくだ、歳暮まわし)
男やもめに蛆がわく(おとこやもめにうじがわく):【意味】(妻と別れて)独身でいる男は無精で汚いということ。「女やもめに花が咲く」とセットで対照的に使われる言葉。(講談・寛永三馬術、落語・たらちね、ちきり伊勢屋、子別れ、薬違い、不動坊)(反対)→女やもめに花が咲く
おどろき桃の木山椒の木(おどろきもものきさんしょうのき):【意味】「びっくりした、たまげた」という意味の語呂合わせ(脚韻を踏んだもの)。「えりき(エレキ?)に狸に蓄音機」と続く。(落語・紫檀楼古木、ぢぐち=地口合せ、厩火事)
おならして国二ヶ国を得たりけり頭はりまに尻はびっちう(おならしてくににかこくをえたりけりあたまはりまにしりはびっちゅう):【意味】御前でおならをして太閤秀吉に笏で叩かれたお伽衆の曾呂利新左衛門がとっさに詠んだという歌。講談にもある。(落語・狂歌合せ)
鬼に金(鉄)棒(おににかなぼう):【意味】強い鬼に鉄棒を持たせたように、ただでさえ強い者のパワーが倍になる、ということ。(落語・穴泥)《い》
鬼のいないうちに洗濯(おにのいないうちにせんたく):【意味】怖い人のいないうちにのんびりしようということ。(落語・鰻の幇間、万金丹)
鬼の霍乱(おにのかくらん):【意味】鬼が日射病にかかること。いつも丈夫な人が病気になること。(講談・妲妃のお百、落語・妾馬、柳の馬場)
鬼の新金、鬼神の丸尾、情け知らずの大万(おにのしんかね、きじんのまるお、なさけしらずのおおよろず):【意味】いずれも新宿の女郎屋の名。人遣いが過酷なことをいう。(落語・文違い)
鬼の女房に鬼神(おにのにょうぼうにきじん):【意味】「鬼の女房に鬼神がなる」の略。鬼のような恐い男には相応な恐ろしい女が連れ添う。「似たもの夫婦」のこと。(講談・国定忠治、妲妃のお百、西郷南洲、関東七人男、落語・算段の平兵衛)《い》
鬼の目にも涙(おにのめにもなみだ):【意味】どんなに冷酷で無慈悲な者にも、情にもろいところがある、ということ。またはそれがあらわになった場面をいう。(講談・名刀捨丸、鼠小僧次郎吉、安中草三郎、緑林五漢録、落語・地獄八景)
鬼も十八、番茶も出花(おにもじゅうはち、ばんちゃもでばな):【意味】「鬼も十七、山茶も煮花」ともいう。鬼のように恐ろしい者でも、年頃になればそれなりに見られるものである。同様に番茶も入れたてならうまい、ということから、合わせて不器量な娘でも娘盛りは美しい、という例え。(講談・笹川繁蔵、落語・地獄八景、遠山政談)《い》
小野の小町か衣通姫、見ぬ楊貴妃はいざ知らず、雪か氷か白鷺か、普賢菩薩の再来か(おののこまちかそとおりひめ、みぬようきひはいざしらず、ゆきかこおりかしらさぎか、ふげんぼさつのさいらいか):【意味】東西古今の美女を引き合いに出して、女性の美しさを形容(ベタ褒め)する時のきまり文句。「普賢菩薩の再来か、常磐御前か袈裟御前、お昼のご飯(ぜん)はもう済んだ」(落・井戸の茶碗ほか)などのバリエーションがある。(講談・加賀騒動)
己れからよこしまに降る雨はあらで風こそ夜の窓を打つらめ(おのれからよこしまにふるあめはあらでかぜこそよるのまどをうつらめ):【意味】日蓮上人の歌であるという「おのづからよこしまにふる雨はあらじ風こそよるの窓はうつらめ」による。雨は自然と上から真下に向かって降るものであるが、風が吹くために横に流れて窓を叩くこともあるのである。人も本来性善に、素直に育つべきものである(生まれながらの悪人などいない)が、環境などのため、よんどころなく邪な心にゆがむのである。(講談・小山田庄左衛門)
己に出づるものは己に返る(おのれにいづるものはおのれにかえる):【意味】自分が悪巧みなどをして人を陥れようとすると、いずれその報いが自分に返る。「自業自得」のこと。(講談・猿飛佐助)
己れも菊五郎もあるものか(おのれもきくごろうもあるものか):【意味】侍に「おのれ!」と言われた町人が言い返す時に使う悪態。「おのれ」と「尾上」をかけた洒落。(講談・祐天吉松)
尾花の末を渡る風の音にも気を止め(おばなのすえをわたるかぜのねにもきをとめ):【意味】後ろ暗い身の上なので、始終ビクビクして生活しなければならない状態をいう。(講談・安中草三郎)(参照)→木にも萱にも心を措く身、脛に疵もちゃ笹原走る、すすきの穂にも脅える体
帯に短し襷に長し(おびにみじかしたすきにながし):【意味】物事が中途半端で役に立たないこと。主に倅や娘の嫁や婿を探しているのだが、なかなか親の眼鏡にかなう候補者がいない、というような場合に使われる。(講談・寛永三馬術、幡随院長兵衛、梅ヶ枝仙之助、朝顔日記、祐天吉松、加賀騒動、落語・小言幸兵衛、ちきり伊勢屋、山崎屋、長崎の赤飯、富久、後の船徳=お初徳兵衛)
お平の長芋、日蔭の朝顔(おひらのながいも、ひかげのあさがお):【意味】平椀に盛られた長芋(の煮たもの)は、見栄えはするがうまくない。日陰に育った朝顔も顔や姿はいいが弱々しい。見かけはいいが頼りない人(主に男)のこと。(講談・水戸黄門、落語・木乃伊取り)
帯をも解かずに看病(おびをもとかずにかんびょう):【意味】一瞬たりとも目を離さず、手抜かりなく厚い看護をすること。(講談・左甚五郎、鈴木重八)
おぶえば抱かる(おぶえばだかる):【意味】「おんぶにだっこ」。「負ぶおうといえば抱かろう」。好意に甘えてつけあがること。さまざまな費用を他人に負担させて平気でいる様子。何かしてもらうと、それに増長してさらにもっと過大な要求をすること。(落語・肥瓶)
溺れる者は藁をもつかむ(おぼれるものはわらをもつかむ):【意味】大変困って追い詰められている人は、大して頼りにならない者にでも頼ろうとする。(講談・清水次郎長、名医と名優、天保六花撰、慶安太平記、落語・永代橋)(参照)→藁をもつかむ思い
おまえ百までわしゃ九十九まで、共に白髪の生えるまで(おまえひゃくまでわしゃくじゅうくまで、ともにしらがのはえるまで):【意味】夫婦がいつまでも仲良く長生きすることをいう俗謡。フーテンの寅さんは後段を「共にシラミのたかるまで」という。(落語・浮世根問)
御神酒上がらぬ神はなし(おみきあがらぬかみはなし):【意味】酒飲みの自己弁護。神様さえお酒を飲むのだから、人が飲むのは当たり前だ、ということ。(落語・かつぎ屋)
怯めず臆さず(おめずおくさず):【意味】全く気後れせず、迷わず、ためらわず。(講談・山中鹿之助、寛永御前試合)
思い(心)中にあれば色外に現る(おもいうちにあればいろそとにあらわる):【意味】どんな人でも、心の内に思うこと(悩み事など)があると、自然にそれが顔色や挙動に出てくるものだ、ということ。(講談・幡随院長兵衛、伊賀の水月、中村勘助、木村長門守、鎌倉星月夜、山内一豊出世の馬揃い、本所五人男、難波戦記、落語・真景累ヶ淵)
思い立ったが吉日(おもいたったがきちじつ):【意味】計画を思い立ったら、その日が縁起が良いので、時間をおかずにただちに実行に移すべきである。「きちにち」とも。(講談・大島屋騒動、左甚五郎、由井正雪、山内一豊出世の馬揃い、落語・たらちね、甲府ぃ、景清、延陽伯、道具屋、米揚げ笊、素人占い=きめんさん)
思いは二つ身は一つ(おもいはふたつみはひとつ):【意味】合戦のような重大な場で、大将がああもしようか、こうもしようかと逡巡するが、身は一つしかないためどちらかを選ばねばならない状態。嬉しい迷いというよりは苦しい選択を迫られるという意味で使われる。「心二つに身は一つ」。(講談・太閤記、名医と名優、汐留の蜆売り)
思へば思はるる(おもえばおもわるる):【意味】こちらが相手のことを思えば、きっと相手もこちらを思ってくれる、ということ、または親切には必ず報いがあるということ。逆に、悪意があればそれも相手へ自然に伝わって悪意が返ってくるものだ、の意。「魚心あれば水心」のニュアンスも。(講談・梁川庄八、天保六花撰、寺井玄渓、落語・おかめ団子)(類義)→情けは人のためならず、めぐりめぐりておのが身のため(反対句)→こっち思いの向こう思わず
表通りがあって裏通りがある(おもてどおりがあってうらどおりがある):【意味】物事(計画)を行うのに、正面からぶつかるまっとうな方法もあれば、一方で裏から手を回したりあからさまにできない手口を使ったりすること(ヤミの手法)も必ずある。(落語・山崎屋)
重荷に小附け(おもににこづけ):【意味】大きな負担の上に更に小さな負担(おまけ)が重なるということ。たとえばひどい雨が降った上に雷が鳴り出す、というような場合に使う。(講談・伊達誠忠録)
親思ふ心に優る親心今日のおとづれ何ときくらん(おやおもうこころにまさるおやごころきょうのおとずれなんときくらん):【意味】吉田松陰が安政の大獄によって江戸で刑死する際に詠んだ、自らの不孝を嘆く歌。(講談・西郷南洲)
親が女郎を買って子が後生を願ふ(おやがじょろうをかってこがごしょうをねがう):【意味】世間一般とは反対な事態の譬え。普通は親が堅く信心をし、子が道楽をするものと相場が決まっているが、逆の場合もあるということ。(落語・真景累ヶ淵)
親が死んでも食休み(おやがしんでもしょくやすみ):【意味】どんな場合でも食後の休息は必要だという金言。「じきやすみ」とも読む。(講談・慶安太平記、落語・乾草車)
親兄弟を振り捨てても殿御に尽くすのが世の訓(おやきょうだいをふりすててもとのごにつくすのがよのおしえ):【意味】女性が全身全霊をこめて夫に尽くす姿勢をいう古典的な表現(教訓)。(落語・長崎の赤飯)
親子は一世、夫婦は二世、主従は三世(おやこはいっせ、ふうふはにせ、しゅうじゅうはさんせ):【意味】親子の関係はこの世だけ、夫婦の因縁は現世だけでなく来世にもつながり、主従の縁は過去にも来世にもつながる。主従関係はそれほど強い因縁である、ということ。続けて「間男はよせ」とも。(講談・梁川庄八、岩見重太郎、旗本五人男、寛永三馬術、安中草三郎、落語・たらちね、おせつ徳三郎・刀屋、お見立て、風呂敷)(参照)→主従は三世
親というものは拵えようと思ってできんものだ(おやというものはこしらえようとおもってできんものだ):【意味】諺ではない。幡随院長兵衛が力士の櫻川五郎蔵に、母親に孝行をしろ、心配をかけるなと意見するときに言うせりふの一部。(講談・幡随院長兵衛)(参照)→八十九十になって親というものはできない
親亡き後に親の家を立派に立てるのが孝の道(おやなきあとにおやのいえをりっぱにたてるのがこうのみち):【意味】親が亡くなった後、子がその家を継いで栄えさせるのが何よりの親孝行であるという昔ながらの教え。(講談・清水次郎長)
親亡き後は伯父伯母を親と心得る(親なき後は伯父が親)(おやなきあとはおじがおや):【意味】親が亡くなった後は伯父(伯母)が親代わりであるから、その教えを守り、孝行を尽くすべきであるという教え。「親亡き後は姉が親」(講・天保六花撰、加賀騒動)、「兄が親」(落・赤垣源蔵)ともいう。(講談・横川勘平、落語・藁人形)
親に先立つのは不孝(おやにさきだつのはふこう):親より早く亡くなるのはなによりも不孝であるということ。(講談・近江聖人)
(父)親に似ぬ子は鬼っ子(おやににぬこはおにっこ):【意味】子というのは必ず親に似るもので、親に似ない子があれば、それは鬼の子である。(講談・野狐三次、祐天吉松、寛永御前試合、落語・やかん、菊江の仏壇、菊江仏壇)
親の因果が子に報い(おやのいんががこにむくい):【意味】親の悪行が子供に及び、それを償うために罪のない子が苦しまなければならなくなる、ということ。(講談・天野屋利兵衛、新吉原百人斬り、落語・ちきり伊勢屋)
親の思うほどに子は思わん(おやのおもうほどにこはおもわん):【意味】親が子を思うほど、子は親のことを思わない。親の愛情はそれほど無償かつ強いものだということ。(落語・花筏)(参照)→親を思わぬ子はあれど、子をば思わぬ親はなし
親の心子知らず(おやのこころこしらず):【意味】子を思う親の心を思いやらず、子供が勝手気ままをすること。(講談・寛政力士伝、清水次郎長、赤穂四十七士伝、西郷南洲、加賀騒動、本所五人男、落語・よかちょろ、干物箱、にゆう、六尺棒、双蝶々・下、真景累ヶ淵、寝床)(参照)→親を思わぬ子はあれど、子をば思わぬ親はなし
親の臑かじる息子(野郎)の歯の白さ(おやのすねかじるむすこのはのしろさ):【意味】親の苦労も知らずにしゃあしゃあとその脛をかじる道楽者の息子を皮肉っていう川柳。(落語・唐茄子屋、立波)
親の光は七(名の)光り(おやのひかりはななひかり):【意味】(偉大な、人望のある)親の威光というものはありがたい。子はいろいろな方面で想像以上にその恩恵を受けるものである。(講談・清水次郎長、木村長門守、両越大評定)
親の不肖は子の不肖(おやのふしょうはこのふしょう):【意味】親にまつわる不運は子にまでたたるものだということ。(落語・井戸の茶碗)
親のものは子のもの(おやのものはこのもの):【意味】いずれ相続するのであるから、親の資産は子の資産も同様であるということ。主に道楽息子が遊びの資金を親に無断で持ち出す時の屁理屈である。(講談・幡随院長兵衛、落語・真田小僧)
親馬鹿ちゃんりん、そば屋の風鈴(おやばかちゃんりん、そばやのふうりん):【意味】親が子への盲目的な愛に耽溺している様子をからかって(自嘲して)いう表現。夜鳴きそば屋の屋台には風鈴が下がっていた。(講談・水戸黄門、岩見重太郎、落語・崇徳院、時そば、子別れ)
親はなくとも子は育つ(おやはなくともこはそだつ):【意味】仮に親が早く世を去っても、残された子というのはどうにかこうにか育っていくものである、という諺。(講談・幡随院長兵衛、赤穂義士本伝、安中草三郎、誰が袖音吉、落語・子別れ、茄子の子)
親は離縁のならぬもの(おやはりえんのならぬもの):【意味】子から見れば親というのは選べないし、どんなにひどい者でも子の方から縁を切るということはできない。だから歯を食いしばって孝行していくのが人の道である、ということ。(講談・忠臣二度目の清書)
親船に乗った気で(おやぶねにのったきで):【意味】「親船」とは、外海を航海できるような大きな船のことをいう。安定した大きな船に乗った積もりで頼りにしなさい、安心してついてきなさい、ということ。(講談・国定忠治、落語・居残り佐平次)(同義)→大船に乗った気で
親よりも先に見限る幇間(おやよりもさきにみかぎるたいこもち):【意味】道楽息子を皮肉る川柳の一つ。親から勘当される前に、金がなくなったと見れば取り巻きの幇間はさっさと離れていってしまう。(落語・素人占い=きめんさん)
親を思わぬ子はあれど、子をば思わぬ親はなし(おやをおもわぬこはあれど、こをばおもわぬおやはなし):【意味】親をないがしろにする子はあるが、子供のことを思わぬ親などはこの世にはいないものである、ということ。さらにいえば(参照)→「親の心子知らず」。(講談・天野屋利兵衛)(参照)→世の中に思いあれども子を思う思いに勝る思いなきかな
親を見ること子に如かず(おやをみることこにしかず):【意味】親の性格や好み、力量というものは、子供がもっともよく知っている。(講談・春風臆病問答)(反対)→子を見ること親に如かず
及ばぬ鯉の瀧登り(およばぬこいのたきのぼり):【意味】いくら頑張ってみても、とうてい及ばぬ高望みな恋である、ということ。(講談・猿飛佐助)
俺が俺がの「が」を捨ててどうもどうもの「も」で暮らせ(おれがおれがのがをすててどうもどうものもでくらせ):【意味】自分が前に出よう、認められよう、出世しようという「我欲」を捨てて、謙譲を旨として他人と円転滑脱に交際すれば、物事うまくいく、という処世術をのべた教訓。(講談・雲居禅師)
尾を振る犬は叩かれぬ(おをふるいぬはたたかれぬ):【意味】日頃からおとなしくて、愛想が良く、従順な者は誰にも憎まれない、だから好かれるためには人に逆らうな、という諺。(講談・安中草三郎)(参照)→憎い鷹には餌、杖の下に入る犬は打てぬ
隠田百姓作り取り(おんでんひゃくしょうつくりどり):【意味】「隠田」とは、領主に年貢をおさめない「かくし田」のこと。「作り取り」は、全収穫を自分のものにすること。バクチなどで、勝った分を総取りしてしまうときなどにもこういう。(講談・鼠小僧次郎吉)
女氏なくして乗る玉の輿(おんなうじなくしてのるたまのこし):【意味】女は血筋や家柄が卑しくても、容貌と運さえ良ければどんな出世もできるということわざ。(講談・水戸黄門、慶安太平記、落語・妾馬)
女(婦人)賢しうして牛売り損なう(おんなさかしうしてうしうりそこなう):【意味】なまじ女が賢いのは、大局を見ないためかえって物事をし損じ、役に立たないことが多い、ということわざ。(講談・大岡政談鉄砲弥市、寛永三馬術、落語・小言幸兵衛、相撲の蚊帳、隅田の馴染め)
女というのは気の狭いもの(おんなというのはきのせまいもの):【意味】女は感情に突き動かされて、思慮分別もなく短絡的な行動を取ってしまうことがある、ということ。(落語・あり)
女に嫌われる者はどこか血のめぐりの悪いところがある(おんなにきらわれるものはどこかちのめぐりのわるいところがある):【意味】女に嫌われる男には、端で見ていてどうも鈍感で機微が分かっていないところがあるものだ、ということ。名言の宝庫「関東七人男」より。(講談・関東七人男)
女に悋気がないのと刺身に大根がついてないのと、辛子がきかんのはずぼらかでたよりない(おんなにりんきがないのとつくりにけんがついてないのと、からしがきかんのはずぼらかでたよりない):【意味】嫉妬深いのも困るが、さりとて女が全然焼き餅を焼かないというのも、刺身にツマがなく、辛子がきかないようなもので、手応えがなく、面白くないものだという言い回し。(落語・三枚起請)
女の一念岩をも通す(おんなのいちねんいわをもとおす):【意味】かよわいようだが、一度思い詰めたら、女は執念深いという例え。(講談・越後伝吉)
女の黒髪は大象をも繋ぐ(おんなのくろかみはたいぞうをもつなぐ):【意味】女が男を惹きつける力がとても強いこと。どんな英雄も女には迷いがちであること。(講談・田宮坊太郎、笹川繁蔵、柳沢昇進録)(同義)→大象も女の黒髪には繋がれる
女の目には鈴を張れ(おんなのめにはすずをはれ):【意味】女の目は鈴のように大きくて丸いのが良い、ということ。(講談・柳沢昇進録、落語・三年目、阪東お彦)(参照)→目は鈴を張ったよう
女の利巧と男の馬鹿とつっ支う(おんなのりこうとおとこのばかとつっかう):【意味】女の浅知恵と、男の馬鹿とはいい勝負である、ということ。「女の利巧より男の馬鹿が良い」という諺もある。(落語・火焔太鼓)
女は御色気の水上(おんなはおいろけのみなかみ):【意味】女性というのは世の中の風情というものの源泉である、と女性を賛美する言い回し。(落語・薬違い、新治療=疝気の虫)
女は気の小さいもの(おんなはきのちいさいもの):【意味】女は物欲や目先の利害にとらわれてしまいがちである、という一種の偏見。(落語・樟脳玉)
女は口のさがなき者(おんなはくちのさがなきもの):【意味】女は口が軽く、また口やかましい(うるさい)。(講談・水戸黄門)(参照)→口さがなきは女の習い、下郎は口のさがなき者
女は三界に家なし(おんなはさんがいにいえなし):【意味】女には安住すべき家はないのだ、という諺。(落語・風呂敷、夢金、お文様:前半は権助魚)(参照)→子は三界の首枷
女は百年の苦楽を良人とともにする(おんなはひゃくねんのくらくをおっととともにする):【意味】女は百年にわたって夫と苦楽を共にする(苦楽浮沈は夫次第である)ということ。(講談・佐倉宗五郎)
御名は雷の如くに承る(おんなはらいのごとくにうけたまわる):【意味】侍同士の初対面の挨拶に出てくる言い回し。「あなたの(たとえば武芸に秀でているという意味で)お名前は有名で、世間にとどろき渡っているので、私もかねがねうかがっています」という尊敬表現。(講談・慶安太平記、赤穂四十七士伝)
婦女ほど世にも尊きものはなし釈迦も孔子もヒョコヒョコと産む(おんなほどよにもとうときものはなししゃかもこうしもひょこひょことうむ):【意味】偉人や聖人も元はといえばみな女性から生まれたのだから女性は偉いという意味の歌だが、なぜかあんまり敬意がこめられているような雰囲気はない。(落語・お血脈、隅田の馴染め)
女やもめに花が咲く(おんなやもめにはながさく):【意味】「男やもめに蛆がわく」と対照して使用される。女は夫と死別しても、男が周囲に集まって華やかな生活ができ、再婚して幸福になれる、という諺。(落語・お化け長屋、子別れ)
陰陽師身の上知らず(おんみょうじみのうえしらず):【意味】陰陽師は他人のことは平気で占うのだが、えてして自分の未来については分からないので不運を回避できない。他人の欠点は目についても自分の短所は自分には見えない、ということ。(講談・荒木又右衛門、おこよ源三郎)《い》
恩を仇で返す(おんをあだでかえす):【意味】恩を受けながら、かえってその相手に危害をもって報いるようなひどい所行。(落語・狸の釜)
恩を受けて恩を知らぬは人でなし(おんをうけておんをしらぬはひとでなし):【意味】人から恩を受けておいて、それをありがたいと思わず、報いようと考えないのは人間の所業ではない、ということ。(講談・後藤半四郎)
編:松井高志・2004-
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