[た]で始まる語句・ことわざ
大悪は善に近し(だいあくはぜんにちかし):【意味】大悪人は小悪人と違い、人物が大きいので改心するとかえって善人になることが多い、という諺。(講談・安中草三郎)(参照)→悪に強きは善にも強い、極悪の極は善、極善の極は悪
大廈の(覆らんとするとき、倒れんとする、よく)一木(のよくこれを支うべからず、の支えるところに非ず)(たいかのいちぼく):【意味】大きな建物が倒れようとするときに、一本の木で支えることは到底無理であるということ。大勢が決しているときに、一人だけ抵抗しても無駄であるという意味。(講談・朝顔日記、幡随院長兵衛、相馬大作、山中鹿之助)
大旱の雨を望むが如く(たいかんのあめをのぞむがごとく):【意味】ちょうどすさまじい旱魃のとき、人々が雨を待ちこがれるように、何かを待望すること。(講談・太閤記)
大奸は忠に似たり(たいかんはちゅうににたり):【意味】「宋史」で政治家の王安石が呂誨からこのように評される。とても悪いやつ(奸物)というのは、本性を隠すのが巧みであるから、表向きうまく忠臣づらをしているものである。(講談・両越大評定、加賀騒動)
大義親を滅す(たいぎしんをめっす):【意味】主君や国家のいざという瀬戸際に臨んでは、自分の親族を犠牲にしなければならない。大きな道義のために私情を捨て去ることをいう。(講談・木村岡右衛門、西郷南洲)
大行は細瑾を顧みず(たいこうはさいきんをかえりみず):【意味】「史記」より。大事業を成そうとする場合、小さな問題にはこだわらない。また、こだわっているようでは、大きなことはなしとげられないということ。(講談・安政三組盃、吉田沢右衛門、天一坊、三家三勇士、矢頭右衛門七、加賀騒動)(参照)→小事を忍ばざれば大事成らず
幇間あげての末の幇間(たいこもちあげてのすえのたいこもち):【意味】客として座敷で幇間を呼んで遊んでいる身だった人物が、道楽が過ぎて身上をつぶし、食うのに困って自ら幇間に身を持ち崩す、という皮肉な事態。ままあることである。「あげての後は」ともいう。(落語・鰻の幇間、つるつる)
だいこんと付くべき文字に付けもせずいらぬ牛蒡をごんぼォという(だいこんとつくべきもじにつけもせずいらぬごぼうをごんぼぉという):【意味】野菜の売り声をいう歌。大根を売る時は「だいこ(でぇぇこ)」と「ん」を省いて売り、牛蒡を売る時は「ごんぼぉ」と本来入らない「ん」を中に入れて呼ぶ、ということ。(落語・孝行糖)
大将(一陣破れて)倒れて(滅びて・討たれて)残兵全からず(たいしょううたれてざんぺいまったからず):【意味】一軍の将が討たれてしまうと、残った軍勢は統率を失って総崩れになる、ということ。(講談・幡随院長兵衛、清水次郎長、太閤記、笹野名槍伝、塚原ト伝、三家三勇士、岩見重太郎、山中鹿之助、難波戦記冬合戦)
大丈夫手に唾して大事を成すべきの時(だいじょうぶてにつばきしてだいじをなすべきとき):【意味】男一匹、全力を振り絞って名を挙げるべきチャンス、という意味。たとえば当座有力な支配者がいないような戦国乱世。(講談・太閤記)
大丈夫芳を百世に流す事能はずんば将に臭を萬年に貽すべし(だいじょうぶほうをひゃくせいにながすことあたわずんばまさにしゅうをまんねんにのこすべし):【意味】名声を後世に残せないくらいなら、悪名をさらに後代まで残した方がずっと良い、という王位簒奪を企図した東晋の桓温将軍の言葉。悪人が陰謀を思いつくときのきまり文句。(講談・加賀騒動)
大象も女の黒髪には繋がれる(だいぞうもおんなのくろかみにはつながれる):【意味】(同義)→女の黒髪は大象をも繋ぐに同じ。(講談・横川勘平)
大象も必ず急所あり(だいぞうもかならずきゅうしょあり):【意味】どんなに巨大で手強そうな相手にも必ず弱点があるはずだ、という金言。(講談・太閤記)
大切(大事)に使えば一生ある命(たいせつ・だいじにつかえばいっしょうあるいのち):【意味】当たり前のようだが、講談では「命を大事にしろ」と意見がましくいうセリフに含まれる常套表現。「~五十年使える命」とも。山賊が旅人を囲んで金を脅し取る時にも使う。(講談・水戸黄門、塚原ト伝、笹川繁蔵、赤穂四十七士伝、落語・指仙人)
橙の下をくぐる(だいだいのしたをくぐる):【意味】→「お飾りの数をくぐる」、→「鳥居数をくぐる(多く経験を積む、したたかになる)」と同じ。年数を重ねること。(落語・樟脳玉)
大智は愚なるが如し(たいちはぐなるがごとし):【意味】優れた知恵の持ち主は奥ゆかしく、知をひけらかしたりしないから、一見愚鈍に見えるものである。「賢者は愚なるが如し」とも。(講談・大石内蔵助、落語・左甚五郎、富久)
大敵と見て恐れず、小敵と見て侮らず(たいてきとみておそれず、しょうてきとみてあなどらず):【意味】戦いで勝利を収めるために必要な心得。たとえ相手が自軍より遙かに数が多い場合でも尻込みせず、遙かに少数でも甘く見てはいけない。(講談・梁川庄八、落語・ゆめ=貸本屋)
大の虫を生かすには小の虫を殺す(だいのむしをいかすにはしょうのむしをころす):【意味】大きなものを救うためには、よんどころなく小さなものを犠牲にしなければならない場合がある。(講談・寛永三馬術、祐天吉松、落語・二十四孝)
大は小をかなえる(だいはしょうをかなえる):【意味】「大は小を兼ねる」。大きな物は、小さな物の代わりに使うことができる、という諺。(講談・太閤記、落語・王子の幇間、野崎詣り)
台風一過して光風霽月(たいふういっかしてこうふうせいげつ):【意味】台風が過ぎ去って、すっかり晴れわたること。(講談・三家三勇士)
大仏に鹿の巻筆奈良晒、春日燈籠町の早起き(だいぶつにしかのまきふでならざらし、かすがどうろうまちのはやおき):【意味】奈良の名物を歌に詠んだもの。「奈良晒」を「あられ酒」とする場合もある。(落語・鹿政談)(参照)→儒者太宰相撲雷電武士真田蕎麦に月見に一茶御陀仏、新潟は後家と南瓜と弥彦山、小千谷縮に牛蒡三条、水壬生菜女染め物針扇お寺豆腐に鰻松茸、舟と橋、お城惣嫁に酒蕪、石屋揚屋に問屋植木屋、武士鰹大名小路生鰯茶屋紫に火消錦絵、火事に喧嘩に中っ腹
太平楽(たいへいらく):【意味】言いたい放題、ホラ、大言壮語、自慢話。(落語・釜泥、付き馬、子別れ)
大弁は訥なるが如し(たいべんはとつなるがごとし):【意味】弁舌の優れた人というのは、軽はずみな口を利かないので、かえって口ベタにみえるものである、という諺。(講談・南部坂雪の別れ)
大名も乞食も同じ花見(桜)かな(だいみょうもこじきもおなじはなみかな):【意味】咲き誇る桜をめでる目には貴賤の差はない、花見を楽しむのは誰しも同じこと、という川柳。(講談・三家三勇士、相馬大作、落語・長屋の花見)(参照)→風流に貴賤の分ちなし、千両の花火寝て見る乞食かな
大勇は怯に似たり(たいゆうはきょうににたり):【意味】本当に勇気のある人は、日頃やたらに人と争わないので、一見臆病者に見えるのである。(講談・山中鹿之助)
高上り(たかあがり):【意味】自分の座席が上座すぎることをいう。身分不相応であること。(落語・佃祭)
高い山から谷底見れば、瓜や茄子の花盛り(たかいやまからたにそこみれば、うりやなすびのはなざかり):【意味】俗謡の歌詞。乃木将軍の母・寿子が飲酒して歌うもの。静子夫人との嫁姑の確執を描く場面に登場する。(講談・乃木将軍)
たかいやまからひくいやまみればひくいやまのほうがどうしてもひくい(たかいやまからひくいやまみればひくいやまのほうがどうしてもひくい):【意味】「雨の降る日は天気が悪い」同様、当たり前の内容をいかにも意味ありげに歌った俗謡の歌詞。前項同様、「高い山から」で始まる歌謡は全国に存在した。(落語・蜘蛛駕籠、三軒長屋)
高きにあっては低きを見ず(たかきにあってはひくきをみず):【意味】尊い身分にある人物は、卑賤なものに気を奪われてはならない、ということ。(講談・両越大評定)
鷹は死しても穂を摘まず(たかはししてもほをつまず):【意味】高潔な人格の持ち主は、たとえ貧窮のさなかでも不正をして生き延びようとはしない、という例え。浄瑠璃・歌舞伎の「仮名手本忠臣蔵」五段目冒頭の文句でもある。(落語・五段目)(参照)→渇しても盗泉の水は飲まず、熱しても悪木の蔭に舎らず
宝は身のさしあわせ(たからはみのさしあわせ):【意味】財宝、貴重品は、いざとなれば金に換えることができる、ということ。「~持ち合わせ」とも。(講談・越後伝吉)
竹に雀は品よくとまれ(たけにすずめはしなよくとまれ):【意味】馬子唄の歌詞。「留めて止まらぬ色の道かいなぁよ」と続く。「東海道中膝栗毛」にもある。(落語・一ト目上り)
竹の柱に茅の屋根、簀子の縁の侘び住まい、見るもいぶせき埴生の小屋(たけのはしらにかやのやね、すのこのえんのわびずまい、みるもいぶせきはにゅうのこや):【意味】粗末な家(というより小屋)を形容するきまり文句。柳生又十郎が、羽賀井一心斎の隠遁する庵を訪れて弟子入りを乞う場面に出てくる。到底天下の名人の住まいとは見えないのだが、案外名人とはそうしたところにいるものなのである。(講談・柳生二蓋笠、鉢の木、落語・大師の杵、野ざらし)
駄三一(ださんぴん):【意味】「サンピン」は下級武士の蔑称。年収三両と一人扶持の軽輩。それへさらに「駄」をつけて馬鹿にしている。(講談・祐天吉松)
たじれて居る(たじれている):【意味】イライラしている、じれている様子。(落語・真景累ヶ淵)
多勢に無勢(たぜいにぶぜい):【意味】少ない人数で大勢に刃向かっても到底かなわない、ということ。(講談・天保六花撰、落語・永代橋、竜宮界、真景累ヶ淵、富蔵藤十郎)
誰か彼かの夕間暮(たそかかれかのゆうまぐれ):【意味】「黄昏時」のこと(語源)。夕方、人の顔の見分けがつかなくなる頃。「誰や彼かの……」とも。「たれかかれか」との読みも。(講談・宮本武蔵、塚原ト伝、青龍刀権次、誰が袖の音吉、富蔵藤十郎)
只(見れば)の目になに石山の秋の月(ただのめになにいしやまのあきのつき):【意味】講談には頻繁に出てくる。風流に無縁な凡人の目には、「近江八景」に挙げられる石山の秋月も無価値である。ボンクラにいくら良い物を見せてもその真価は分からない、ということ。(講談・寛永三馬術、笹野名槍伝、田宮坊太郎、柳生三代、三家三勇士、秋色桜)
畳と女房は新しいほどいい(たたみとにょうぼうはあたらしいほどいい):【意味】新しい畳と新しい女房のいる家は住みやすい、畳と女房は変えるほどいいという意味の諺。「芝浜」では否定的に引用される。(落語・芝浜)
畳の上で往生することのできねえ野郎(たたみのうえでおうじょうすることのできねえやろう):【意味】やくざ者で、まっとうな道を歩んでいないため、誰かに恨まれ、命を狙われたりしていて、おだやかな死に方は到底できないのに決まったような者、ということ。(講談・国定忠治)
畳の上の水練(たたみのうえのすいれん):【意味】机上で理屈・理論だけをマスターしていても、実地には何の役にも立たないということ。(落語・雪の瀬川=夢の瀬川)
ただ見れば(見ればただ)何の苦もなき水鳥の足に暇なき我が思いかな(ただみればなんのくもなきみずどりのあしにひまなきわがおもいかな):【意味】水戸光圀が作った教訓和歌であるという。何の苦労もなく水に浮いているように見える水鳥だが、水面下では絶えず足をかいている。自分も気楽なように見えるだろうが、人知れずものを考え思いをめぐらせているのである、ということ。(講談・水戸黄門・毛谷村六助)(同義)→見ればただ何の苦もなき水鳥の足に暇なき我が思いかなに同じ。
只ほど安いものはない(ただほどやすいものはない):【意味】なんといっても、無料で何かを入手する以上に安上がりなものはない。何か訳ありでさえなければ、の話であるが。(落語・饂飩屋)
立つ鳥跡を濁さず(たつとりあとをにごさず):【意味】立ち去る時は、後を見苦しくないようよく始末しておくべきだ、という教え。(講談・鼠小僧次郎吉、祐天吉松)(反対)→後足で砂をかける
巽上がりにいきり立つ(たつみあがりにいきりたつ):【意味】「巽上がり」とは甲高くて品のない声をいう。または、粗野で猛々しい様子。博徒の若い者たちが、敵対する一家に仲間を斬られて、仕返しに行こうと即座に立ち上がる場面などに出てくる。(講談・笹川繁蔵)
立つより返事(たつよりへんじ):【意味】人に声をかけられたら、立ち上がる前にまず返事をするのが常識だ、という諺。(講談・清水次郎長)
立て板に水を流すが如く(たていたにみずをながすがごとく):【意味】流暢に話す(記憶した文を諳んじる)ことのたとえ。(講談・難波戦記、落語・浮世床)《い》
たで食う虫も好きずき(たでくうむしもすきずき):【意味】辛い蓼を食う虫だっているのだから、人の好みというのはさまざまで分からない、ということ。(講談・本所五人男、落語・三十石)
縦のものを横にもしない(たてのものをよこにもしない):【意味】(参照)→「横のものを縦にもしない」を見よ。
立てば芍薬座れば牡丹歩む(く)姿は百合の花(たてばしゃくやくすわればぼたんあるくすがたはゆりのはな):【意味】美人の姿を例えた形容のうち、今でもかなりポピュラーな慣用表現。(講談・安政三組盃、塚原ト伝、柳沢昇進録、落語・井戸の茶碗、十徳、入黒子)
たとい千里を行く名馬なりとも、これを見出す伯楽なければ、終生駑馬で終わらねばならぬ(千里独行の名馬といえども、これを見出す伯楽なかりせば、王公宰相の厩舎に入ることあたわず)(たといせんりをいくめいばなりとも、これをみいだすはくらくなければ、しゅうせいどばでおわらねばならぬ):【意味】いくら才能があっても、それを認めて世に出してくれる人物に巡り合わなければ、一生埋もれたまま過ごさねばならない、という意味の慣用表現。「伯樂有りて後千里の馬あり、千里の馬は常にあれども伯樂は常になし」と松崎尭臣の「窓のすさみ」にある。(講談・荒木又右衛門、寛永三馬術、相馬大作)
たとえ野の末山の奥、手鍋を下げて暮らすとも(たとえののすえやまのおく、てなべをさげてくらすとも):【意味】女が男への愛情を表現するときの慣用的な言い回し。仮にどんな田舎、山奥でも、また貧乏をしても、思う男と一緒に暮らしたい、ということ。手鍋を提げる、は「自分で食事の支度をする」ことを意味する。(講談・伊賀の水月)
たとえ三日でも養えば主従三世の因みがある(たとえみっかでもやしなえばしゅうじゅうさんせのちなみがある):【意味】わずか三日でも、雇用関係があったならば、三世にわたる主従の縁がそこには存在するのである、という諺。従って互いにおろそかにはできないはずである。(講談・寛永三馬術)(参照)→三日でも仕えれば御主
棚から牡丹餅(たなからぼたもち):【意味】思わぬ幸運に恵まれるという例え。「たなぼた」。(講談・太閤記、落語・夢八)
他人の空似(たにんのそらに):【意味】血縁関係がない他人同士なのに、たまたま顔つきなどがよく似ていることをいう。(落語・百年目)
種のない手品(品玉)は使えない(たねのないてづまはつかえない):【意味】手品をするにも仕掛けは必ず必要。何事も材料・下拵えなしではできない、ということ。(講談・清水次郎長)
種腹同じ三兄弟(たねばらおなじさんきょうだい):【意味】同じ父母から生まれた三人の兄弟、の意。(講談・大塩瓢箪屋裁き)
楽しみあれば苦しみあり(たのしみあればくるしみあり):【意味】どんな快楽にも永続性はない。やがて苦しみがやってくる。「楽は苦の種」ということ。(講談・朝起五十両)
楽しみ尽きて悲しみ来たり、悲しみ尽きて悦び生ず(たのしみつきてかなしみきたり、かなしみつきてよろこびしょうず):【意味】人間の生涯は幸福と不幸の繰り返しであり、片方ばかりが延々と続くということはありえない。楽を極めたと思えば悲しみが訪れ、悲しみにくれる日々の後には必ず悦びが訪れる、ということ。(講談・妲妃のお百)(参照)→禍福はあざなえる縄の如し、人間万事塞翁が馬
楽しみ鍋(たのしみなべ):【意味】さまざまな材料で作る鍋物。寄せ鍋。(落語・唐茄子屋、子別れ・中)
楽しみは後ろに柱前に酒左右に女ふところに金(たのしみはうしろにはしらまえにさけさゆうにおんなふところにかね):【意味】男の勝手な夢というか妄想・欲望を詠んだ狂歌。こういうことが一度してみたい、という願望である。床柱を背負い、前に酒を置き、左右に美女をはべらせて、懐にはたんまり金がある、という茶屋遊びでの大散財のような状況をいう。(落語・初音のお松)
楽しみは春の桜に秋の月夫婦仲よく三度食う飯(たのしみははるのさくらにあきのつきふうふなかよくさんどくうめし):【意味】夫婦円満が人生の基本であると説く教訓的な歌。五代目市川団十郎の作という。(落語・熊の皮、たらちね)
楽しみはまづしきにあり梅の花(たのしみはまずしきにありうめのはな):【意味】梅の花は、寒い内からつぼみを持ち、咲いて良い香りをさせる。同様に貧しくても心が清浄であれば、真の楽しみが分かる。なまじ金持ちになると、本当の楽しみがどういうものか分からなくなる、という意味の句。(講談・あやめ人形、左甚五郎)(参照)→風流は貧しきにあり梅の花、食わず貧楽
頼まれては越後から米搗きに来る(たのまれてはえちごからこめつきにくる):【意味】米搗き(米を搗き、精白すること。若い者がする力仕事)をする人は、越後生まれの人が多かった。「越後の人は頼まれたら米搗きにでも出てくる」ともいう。人は頼まれれば断れないものだ、というとき、例示的に使う。(講談・太閤記、鼠小僧次郎吉、横谷珉貞、越後伝吉、赤穂四十七士伝、落語・人形買い、小いな)
頼みがたきは人心(たのみがたきはひとごころ):【意味】人の気持ちというのは変わりやすいからあてにならない、ということ、たとえ連判状を取り交わした同志でも、それぞれの事情によっては盟約に背くことさえある。「赤穂義士伝」によく出てくる。(講談・赤穂義士本伝)
頼む木蔭に雨漏る頼りなさ(心地)(たのむこかげにあめもるたよりなさ):【意味】「あてにしていたものが頼りにならない」という意味の古典的比喩表現。「天の原曇れば悲し人しれず頼む木の本雨ふりしより」という古歌にちなむ。(講談・佐倉宗五郎、天保六花撰、祐天吉松)
煙草庖丁の柄のように太く短く(たばこぼうちょうのえのようにふとくみじかく):【意味】煙草庖丁は、煙草の葉を刻む時に使う庖丁。身が厚く、幅が広く、丈が短い。その形のように、仮に短命でも実入りの良い生涯を送ろうともくろむ。(落語・もう半分、宮戸川)
旅の恥はかき捨て(たびのはじはかきすて):【意味】旅先での失敗は、見ず知らずの他人の間でのことだから恥にはならない、という考え方。普通は、不遜な姿勢であるとされる。(講談・相馬大作、本所五人男、落語・朝這い、京見物、猿丸太夫)
旅に出たら火を見たら火事と思え、人を見たら泥棒と思え(たびにでたらひをみたらかじとおもえ、ひとをみたらどろぼうとおもえ):【意味】旅行先では警戒しすぎに越したことはない、という格言。火が燃えていれば火事、出会う人は泥棒ぐらいに思っておけば、無事に済むのである。しばしば「旅に出たら」という前提が失われて使われている。(講談・水戸黄門)(参照・同義)→道中で人を見たら盗賊と思え、火を見たら火事と思え
旅は憂いもの辛いもの(たびはういものつらいもの):【意味】旅行先では知人もなく土地勘もないので、なにかと不安にかられることが多い。前項のように、心配事や取り越し苦労も絶えなかった。(講談・水戸黄門、落語・朝這い、宿屋の仇討、お玉牛、鼻がほしい、京見物)
旅は道連れ世は情(たびはみちづれよはなさけ):【意味】旅行をするときには連れがあると安心であり、世間を渡るときは人情が大事であるという諺。(講談・梁川庄八、大久保彦左衛門、奉行と検校、慶安太平記、落語・三人絵師)《い》
旅人は行呉竹の群雀泊まりては発ち泊まりては発ち(たびびとはゆきくれたけのむらすずめとまりてはたちとまりてはたち):【意味】次々に宿にやってきて、宿泊しては出発していく旅人の様子を雀に例えた歌。蜀山人の作?(落語・ねずみ、昔の詐偽=人参騙り、鬼薊の清吉、三人旅、京見物)
足袋をはいて寝ると親の死に目に会えない(たびをはいてねるとおやのしにめにあえない):【意味】俗信。「夜爪を切ると親の死に目に会えない」と同様。小はぜで怪我をするからこのように戒めたのである、という。(落語・佃祭)(参照)→夜爪をとると気違いになる
たまか(たまか):【意味】倹約すること、つましく暮らすこと。「節倹」と漢字で表記する。(落語・質屋庫、お化長屋、三助の遊興、お七、牡丹燈籠)
卵を以て巌石に打ちつけるが如し(たまごをもってがんせきにうちつけるがごとし):【意味】たとえば少数の軍勢が、圧倒的多数の軍勢によって、簡単に(ひとたまりもなく)潰されてしまう、というような場合に使う例え。「石もて鶏卵(とりのこ)を圧す」と曲亭馬琴はよく使う。(講談・太閤記)
民は国の基(たみはくにのもとい):【意味】国家の根本は民衆であるから、その声を蔑ろにして政を行ってはならないということ。(講談・水戸黄門)
ため息は命を削る鉋かな(ためいきはいのちをけずるかんなかな):【意味】川柳。心配事を抱えて、ため息ばかりついていると寿命が縮む、ということ。(講談・安政三組盃)(参照)→酒は命を削る鉋
だらすけ:【意味】陀羅尼助(だらにすけ)のこと。腹痛に用いる黒い固まりで苦い。(落語・真景累ヶ淵)
他を諷して悟らしめる(たをふうしてさとらしめる):【意味】角が立つため、ある人を直に批判するのではなく、うまく別の人の例を「たとえ話」として挙げて、それとなく意図を相手に伝える、という人間操縦の手法のこと。(講談・朝顔日記)
短気は損気(たんきはそんき):【意味】気が短いのは損害を招く原因になるから、心にゆとりを持たなければいけない、という意味の戒めのこもった諺。(落語・天災、熊の皮、市助酒、厩火事)
男子三十にして室あり(だんしさんじゅうにしてしつあり):【意味】「礼記」にある言葉。男は三十歳になれば妻を娶るべきである、ということ。(講談・近江聖人)
断じて行えば鬼神も之を避く(だんじておこなえばきじんもこれをさく):【意味】人が強い気持ちで決断し、実行するならば、これを妨げるものはない、ということ。(講談・太閤記)
男子成すときに成さざれば千歳の悔いあり(だんしなすときになさざればせんざいのくいあり):【意味】男は、様々な事情があろうとも、自分の本分を尽くすべき機会がきて、それをみすみす果たさないで逃してしまうと、一生どころか千年後までも悔いが残る、だから思い切ってこれと思う道を進め、ということ。(講談・相馬大作)
男色は武道の花(だんしょく:なんしょく:はぶどうのはな):【意味】昔の武将や僧侶は同性愛に美学を見出していた、ということを示すことわざ。(講談・難波戦記)
男女七歳にして席を同じうせず(だんじょ:なんにょ:しちさいにしてせきをおなじゅうせず):【意味】ここでいう「席」は茣蓙やむしろ(一枚に四人座れる)。七歳になれば、男女は一枚のむしろの上に一緒に座らず、区別を弁え、無制限に親しくすべきでない、という古い教え。(講談・由井正雪、岡野金右衛門、赤穂四十七士伝、本所五人男、落語・宮戸川、おすわどん、牡丹燈籠)
旦那場(だんなば):【意味】職人が得意先、出入り先を敬ってこう称する。(落語・文七元結)
短兵急に(たんぺいきゅうに):【意味】性急に、にわかに、せっかちに(何かを行おうとすること)。(講談・難波戦記、落語・唐茄子屋)
短慮功をなさず(たんりょこうをなさず):【意味】気短な振る舞いは、往々にして失敗の種になり、後悔の元であるから、人間は簡単に腹を立てたり一時的な感情のままに性急に決断を下すべきではない、という教訓。(講談・赤穂義士本伝、太閤記、関東七人男)
編:松井高志・2004-
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)


