[ぬ]で始まる語句・ことわざ
糠に釘(ぬかにくぎ):【意味】意見をしても(若い者や子供に小言を言っても)、全く手応えがなく、効き目がないこと。(講談・肉附の面:「女房は女のことですからさうは行かない。三日に上げず意見をするがぬかに釘」、落語・藁人形、妾馬)(参照)→馬の耳に念仏《い》
抜け駆けの功名(ぬけがけのこうみょう):【意味】戦場で、密かに他人(味方)を出し抜いて自分だけ手柄をたてること。黙って一人勝ちを狙うずるさをいう。(講談・太閤記:「それが気に食わンので。私は残念ですから、抜け駈けをするつもりで……」)
抜けば玉散る氷の刃(ぬけばたまちるこおりのやいば):【意味】よく切れる白刃の形容。(落語・たがや:「『ええい』と抜けば玉散る氷のやいば、と来ればたいへんに器量がいいんですがねェ」、高田の馬場)
盗人猛々しい(ぬすっとたけだけしい):【意味】悪事をはたらきながら図太く厚かましい。(講談・天保六花撰、清正仁徳録~蛇目坊主、落語・おすわどん:「エー喧ましい、盗人猛々しいとは汝が事だ、何と分疏(いいわけ)をしようと此方は現場を見たんだ」、汲みたて、おもと違ひ、探偵饂飩)
盗人に追い銭(ぬすっとにおいせん):【意味】泥棒に金銭を盗られた上に、更にまだ銭をくれてやる、というような、損害の上に損害を重ねるような行いを例えていう。(講談・関東七人男、薮原検校、落語・三人旅、永代橋:「あとの始末もすっかりしてやらなくちゃならねえ。盗人に追銭てェのはこれだよ」、禁酒番屋、昔の詐偽=人参騙り、鬼薊の清吉)
盗人にも三分の理(利)(ぬすっとにもさんぶのり):【意味】どんなに非常識な行動にも、強引に理屈をつければそれなりの筋が通ってしまう、ということ。悪事をする方にもそれなりの理屈や言い分があるのだ、という意味もある。(講談・関東七人男:「隠居さん少し待っておくんなさい、盗人にも三分の利があるとやら」、落語・転宅)
盗人の暇はあれども守る人に暇なし(ぬすっとのひまはあれどももるひとにひまなし):【意味】泥棒は隙あらば盗もうと狙うのだが、防御する方はそれにかかりきりではいられないから、油断ならない。また、結局盗賊というものは防ぎきることができない、ということ。(講談・後藤半四郎:「併し盗人の隙はあれども守人に隙はなしとか云なりと大口開けて打笑ひ其胴巻を其所へ投出し」)
盗人を捕らえてみれば我が子なり(切りたくもあり切りたくもなし):(ぬすっとをとらえてみればわがこなり):【意味】家に忍び込んだ泥棒を捕まえてみたら自分の倅であった、道理で戸締まりや内情に詳しいはずだ、という川柳。落語ではかっこ内の下の句がつく。(講談・荒木又右衛門、伊賀の水月、清水次郎長、猿飛佐助、落語・雪てん、紫檀楼古木:「『切りたくもあり切りたくもなし』という題が出た。『盗人を捕えてみれば我が子なり』というのをこしらえた」)
濡れ手で粟のつかみ取り(ぬれてであわのつかみどり):【意味】労せずして利益を得ることの例え。安易な手段によって莫大な儲けを得ることなどをいう。(講談・山中鹿之助、妲妃のお百、爆裂お玉、落語・ちきり伊勢屋:「涙ながらに後家さんから頼まれました。濡れ手で粟のつかみどり」、しじみ売り、左甚五郎)《い》
濡れぬ(知れぬ)先こそ露をもいとえ(ぬれぬさきこそつゆをもいとえ):【意味】濡れないうちは、たとえわずかでも濡れるのをいとうけれども、一旦濡れてしまうともういくら濡れても構わない。ひとたび間違いをしでかせば、後はどんな非道なことも大して良心がとがめない、という意味。(講談・伊賀の水月:「しかし、今そちが言う通り、ぬれぬ先こそ露をもいとえだ」、忠臣二度目の清書、天保六花撰、母里太兵衛、薮原検校)
編:松井高志・2004-
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