[は]で始まる語句・ことわざ
梅桜桃李一時に咲き乱れたような(ばいおうとうりいちじにさきみだれたような):【意味】春に梅、桜、桃、李(すもも)がいっぺんに咲き乱れたような絢爛たる眺めのこと。もっぱらたくさんの美女が勢揃いしている有様を例えた常套表現。(講談・伊達誠忠録、木村長門守)
吐いた唾は飲み込まない(はいたつばはのみこまない):【意味】一旦出した物は引っ込めることが出来ない、たとえば礼金などはひとたび相手に向かって出せば、先方が辞退したからといって「はいそうですか」と引っ込めるわけにはいかないものだ、ということ。(講談・幡随院長兵衛)
杯盤狼藉(はいばんろうぜき):【意味】宴の席が(杯や皿小鉢が散らかって)乱雑になっている様子をいう。(講談・青龍刀権次)
蝿は金冠をも恐れず(はえはきんかんをもおそれず):【意味】蝿は汚いものも尊いものも区別なくとまる。貴賤というものを弁えない、いとも哀れなものだ、ということ。怖いもの知らず、常識のない人をたとえていう。(講談・木村長門守の堪忍袋)
這えば立て、立てば歩めの親心(はえばたて、たてばあゆめのおやごころ):【意味】子供(小児)が育つのを待ちこがれる親の心をいう。子が這い這いをすれば早く立ってくれと思い、立てば早く歩いてくれないかと願う気持ちのこと。(講談・左甚五郎、田宮坊太郎、慶安太平記、山中鹿之助、落語・子宝=女の子別れ、牛ほめ、乾物箱)
訛す狐が訛される(ばかすきつねがばかされる):【意味】詐欺・ペテンにかけようとする方がかえって逆に騙されるというようなことがありがちだ、ということ。(講談・山中鹿之助)
馬鹿と鋏は使いよう(ばかとはさみはつかいよう):【意味】切れない鋏や愚か者でも、工夫次第でどうにか使える(役立つ)。(落語・にゆう)
馬鹿につける薬はない(ばかにつけるくすりはない):【意味】知恵の足りない者を手なずけて教える方法はなかなか見つからない、分かっていない者に処置する手段はなくお手上げである、とあきれる状態を表わす言葉。浪花節でいう「馬鹿は死ななきゃ直らない」(次郎長伝)。(講談・猿飛佐助、落語・近日息子)
馬鹿には四十八馬鹿あり(ばかにはしじゅうはちばかあり):【意味】馬鹿と一口に言うが、四十八の種別がある、ということ。「その頭取が噺家」。(落語・金明竹、近日息子)
馬鹿の一つ覚え(ばかのひとつおぼえ):【意味】ただ一つのことを覚え、それを自慢にして何につけても適用しようとする愚か者のことを馬鹿にしてこういう。(落語・唖の釣)
馬鹿は隣の火事より怖い(ばかはとなりのかじよりこわい):【意味】(参照)→「馬鹿ほど怖いものはない」の比喩を用いた表現。(落語・髪結新三)
馬鹿はものに動じない(ばかはものにどうじない):【意味】知恵のない、鈍感な者は、何か驚くべきことに遭遇しても、事態が理解できていないので全く驚かないように見える。大胆であたかも大器量であるかのようだが、単に分かっていないだけなのである。(落語・ろくろっ首)
(参照→世の中に)馬鹿ほど怖いものはない(ばかほどこわいものはない):【意味】頭の悪い者は、一途に思い詰めたりすると、思慮もなく人に利用されてどんな暴挙でもやりかねないから、なまじ思慮のある敵よりも始末が悪い、ということ。(講談・由井正雪)(参照)→馬鹿は隣の火事より怖い
謀(略)は(迅速にして)密なるを(以て)宜とす(尚ぶ)(はかりごとはみつなるをよしとす):【意味】作戦というものは、速やかに、かつ秘密裏に立てる(、そして実行する)べきである、という諺。「敵を計らんと欲する時は味方を計る」と続く場合もある。(講談・岡野金右衛門、笹野名槍伝、太閤記、三家三勇士、相馬大作、誰が袖音吉、落語・三軒長屋、蚊いくさ、狂歌家主、あたま山)
馬鹿を承知でなるやくざ(ばかをしょうちでなるやくざ):【意味】人から軽んじられ、嫌われ、蔑まれるという稼業であることを百も承知で、人は博徒や渡世人になるのである。その人にとっては、それなりの必然性がそこにはある、ということ。(講談・笹川繁蔵)
はきだめに鶴(はきだめにつる):【意味】ゴミ捨て場に鶴がおりたように、つまらない場所に、不相応なほど優秀な人がいることを例えた表現。(落語・お直し、藁人形、お玉牛、不動坊)(参照)→泥中の蓮
破鏡再び照らさず、落花枝にもどらず(はきょうふたたびてらさず、らっかえだにもどらず):【意味】「覆水盆に返らず」(太公望呂尚の妻が読書にふける夫を見放して去り、後に彼が出世すると復縁しようと帰ってきたが、太公望は盆の水をこぼして、見事この水を元へ戻せれば復縁しようと言ったという故事から出ている)と同義。主に夫婦の別離に関する諺。割れた鏡は決して元通りにならず、散った花は元の枝へ戻らない。一旦破綻した関係は、二度と修復できない。一度してしまったことは取り返しがつかないのだ、という意味。(講談・太閤記、本所五人男)(参照)→覆水盆に返らず
博打打ち博打を打たず(ばくちうちばくちをうたず):【意味】本当の博徒というのは、自分で博打を打ったりはせず、人に打たせて利益を取るのである。(講談・関東七人男、落語・梅若礼三郎)
箱根八里は馬でも越すが越すに越されぬ大井川(はこねはちりはうまでもこすがこすにこされぬおおいがわ):【意味】「箱根馬子唄」の歌詞。箱根の山と大井川(架橋・渡船が禁じられたので人足を雇って川を渡った)は東海道の難所であることをいう。(講談・名医と名優)
箱根山駕籠に乗る人担ぐ人、そのまた草鞋を作る人(はこねやまかごにのるひとかつぐひと、そのまたわらじをつくるひと):【意味】世の中には駕籠の客となる人もいれば、その駕籠をかついで客を運搬する職業の人、その駕籠かきの草鞋を作る人もいる。多くの人が関わり合い助け合いながら広い世の中というものは成り立っているのである、ということ。(落語・夢金)(参照)→雪の日に駕籠に乗る人かつぐ人そのまた草鞋を作る人
葉桜になるまで知らぬ(愚痴の)婿選み(はざくらになるまでしらぬむこえらみ):【意味】箱入り娘(しばしば美女である)が婿の選り好みをしているうちに(または嫁入りを具体的に考えないうちに)適齢期を逃しかけるという事態をいう川柳。(講談・関東七人男、朝顔日記、祐天吉松)
恥ある武士は必ず死す(はじあるぶしはかならずしす):【意味】自分の名誉を重んじ、名を惜しむ侍は、名を守るためならおめおめと生き恥をさらさず、必ず死を選ぶということ。(講談・安政三組盃)
馬耳東風(ばじとうふう):【意味】李白の詩より。春風が吹けば人は喜ぶが、馬は何も感じない。人の意見や批評を平気で聞き流すことをいう。(講談・木村長門守、幡随院長兵衛)
橋無い川は渡れん(はしないかわはわたれん):【意味】間に入る人がなければ、物事(計画)は成就しない。また、何かを成し遂げるにはそれなりの段取りが不可欠である、という意味。(落語・池田の猪買い、米揚げ笊)
箸にも棒にもかからん(はしにもぼうにもかからん):【意味】どうにも手のつけられない、扱いようのない人の形容。(落語・妾馬)
箸のあげおろし(はしのあげおろし):【意味】日常のちょっとした行為。(落語・心眼)
橋の上玉屋玉屋の人の声なぜか鍵屋といわぬ情なし(はしのうえたまやたまやのひとのこえなぜかかぎやといわぬじょうなし):【意味】両国の川開き、花火を見物する人はどういうわけか「玉屋!」「玉屋!」と声をかけるが、ライバルの花火屋である「鍵屋」と言う人はないものだ、という状況を「鍵(かぎ)」と「情(じょう)」にシャレていう狂歌。(落語・たがや)
始まりあれば終わりあり(はじまりあればおわりあり):【意味】どんなものにも栄枯盛衰はあり、世の中は移り変わる。勢いのあるものもいつかは亡びる。さすがの徳川の天下も天保くらいになるとそろそろ先が見えてきた、というような意味で使う。(講談・天保六花撰)
箸も茶碗もない(はしもちゃわんもない):【意味】無一文になること。(落語・ちきり伊勢屋)
箸も出ない(はしもでない):【意味】火事で焼け出されて無一物になること。家財どころか箸すら持ち出せなかったということ。(落語・鼠穴、徂徠豆腐)
蓮の台で仲良う暮らす(はすのうてなでなかようくらす):【意味】この世で祝福されて結ばれることのない男女が、心中して(そうでなくても死後)、あの世で共に仲良く暮らそうと誓い合う。(講談・岡野金右衛門、落語・城木屋)
はだか虫の洗濯(はだかむしのせんたく):【意味】雪の降った日の翌日は晴れ渡る、という天気ことわざ。(講談・勝田新左衛門、鼠小僧次郎吉)
八間(はちけん):【意味】梁から吊るような掛け行灯。(落語・お直し、一眼国)
八十九十になって親というのはできない(はちじゅうきゅうじゅうになっておやというのはできない):【意味】年を取って今更孝行しよう、しておけばよかったと思っても遅い、だから親の元気なうちにせいぜい孝行しておけということ。(講談・幡随院長兵衛)(参照)→親というものは拵えようと思ってできんものだ、木静かならんと欲すれども風止まず、子養わんと欲すれども親待たず
はちべえ(はちべえ):【意味】宿場女郎のこと。(落語・皿屋)
八幡正気(はちまんしょうき):【意味】神掛けて気は確かである、間違いないということ。(講談・男くらべ)
八幡太郎に番太郎、義経に向こう脛、能登守に鼻ッ紙(はちまんたろうにばんたろう、よしつねにむこうずね、のとのかみにはなっかみ):【意味】一見似ているようだが段違いだ、という洒落。(講談・富蔵藤十郎)
初鰹飛ぶや江戸橋日本橋(はつがつおとぶやえどばしにほんばし):【意味】魚河岸は1923年の関東大震災まで日本橋にあった。江戸橋はその東の続きで、やはり魚市場。初鰹が威勢良く売買されている情景をいう川柳。夏なので、魚屋が飛ぶように走らないと鰹が腐ってしまう。(落語・芝浜)
八寸を四寸ずつ食う仲のよさ(はっすんをしすんずつくうなかのよさ):【意味】夫婦差し向かい、八寸膳を半々にしてメシを食べる仲の良さをいう川柳。(落語・たらちね、紙入れ、隅田の馴染め)
八丁居廻り(はっちょういまわり):【意味】「居廻り」は居るところの廻り、という意味。よって「その場から八丁四方」のこと。(落語・蛙茶番)
初物七十五日(はつものしちじゅうごにち):【意味】初物を食べると寿命が七十五日延びるという俗信。(講談・柳沢昇進録、落語・中村仲蔵、五人廻し、らくだ)
はて恐ろしい執念じゃなぁ(はておそろしいしゅうねんじゃなぁ):【意味】怪談噺必須といえる、いつまでも登場人物につきまとう怨念のすさまじさ、因果の逃れがたさを、演者自身がつくづく慨嘆してみせるときのきまり文句。(講談・落語・怪談市川堤、化物使いほか怪談多数)
鳩に三枝の礼あり、鴉に反哺の孝あり(はとにさんしのれいあり、からすにはんぽのこうあり):【意味】鳩は親鳥より三つ下の枝に止まるというほどの礼節があり、鴉は雛の時の恩を返すため、親鳥の口に餌を含ませて返す。共に親の恩に応える例え。(講談・岡野金右衛門)
鼻唄三丁矢筈斬り(はなうたさんちょうやはずぎり):【意味】腕の立つ侍によって、物凄く斬れる刀で斬られると、斬られた方はそれ全くに気づかず、その後も鼻歌を歌いながら三丁も歩いたあとまっぷたつになって絶命するのだということ。まさかそんなことはないだろうが、という断りつきで使われる表現。(講談・幡随院長兵衛、落語・猫の皿、粟田口)
落語家殺すにゃ刃物はいらぬ、あくび三つですぐに死ぬ(はなしかころすにゃはものはいらぬ、あくびみっつですぐにしぬ):【意味】落語家を食えなくするには、客があくびして噺がつまらないことを態度で示せばいいのである。しばしば引き合いに出される都々逸。(落語・お七、雁風呂、全快=死神)
噺家は浮世(世上)のあらで飯を食い(はなしかはうきよ:せじょう:のあらでめしをくい):【意味】落語家は広い世間にある、絶対不可欠な事柄ではなく、どうでもいいような余計な部分を噺のネタにして客を笑わせ、銭を取って生きるものだという川柳。(落語・粗忽の使者、昔の詐偽=人参騙り、鬼薊の清吉、お七、大工調べ)
話し上手の聞き下手(はなしじょうずのききべた):【意味】寄り合って喋ることが上手い人は、人の話を聞くことはかえって苦手である、という諺。(講談・幡随院長兵衛)
鼻血が出たとき首筋の毛を三本抜くと鼻血がすぐに止まる(はなぢがでたときくびすじのけをさんぼんぬくとはなぢがすぐにとまる):【意味】「盆凹の毛を一本抜く」とも。一種の「生活の知恵」というよりおまじないのようなものだが、編者は一度も試してみたことはない。(落語・蛸芝居、真景累ヶ淵)
花に嵐、月に叢雲(はなにあらし、つきにむらくも):【意味】人間、調子の良い時に限って、なんだかんだと邪魔が入るものである。(講談・寛永三馬術)(参照)→月に叢雲の譬
花に十日(百日)の盛りなく、人に百歳の齢あるは稀なり、生まれて死するは世の習い(はなにとうかのさかりなく、ひとにひゃくさいのよわいあるはまれなり、うまれてしするはよのならい):【意味】桜の花は十日で散り、人が百歳生きるのは稀である。生きとし生けるものには定められた寿命というものがある、それに逆らおうとしても無駄であるということ。(講談・天一坊、夕立勘五郎)
鼻の下に休日はねえ(はなのしたにやすみびはねえ):【意味】鼻の下、すなわち口には休みの日はない、食わないでいられる日はない。だから生きていくためには働かなければならない。(講談・安中草三郎)
花は紅、柳は緑(はなはくれない、やなぎはみどり):【意味】自然のままで人工的な作為がないこと。自然に任せた悟りの心境や美しさを言い表す場合が多い。蘇東坡の詩より。(参考)→みわたせば柳桜をこきまぜて都ぞ春の錦なりける(古今集・春上・素性)(落語・一ト目上り)(参照)→柳の翠、桜の紅
花は桜木、人は武士(はなはさくらぎ、ひとはぶし):【意味】花の中では桜が一番優れている。人間の中では侍が最高である、という諺。「なぜ傾城にいやがられ」という「サゲ」がつく。(講談・赤穂義士本伝、寛永御前試合、赤穂四十七士伝、落語・花瓶、しめこみ、茶わん屋敷)(参照)→侍は人の鑑、四民の源上に立ち、三民の上席を穢す
花より団子(はなよりだんご):【意味】風流や恋愛なぞよりも、実利の方が尊いのである、という主張をこめた諺。(講談・寛永三馬術、片岡源五右衛門、落語・花見酒、黄金餅)《い》(参照)→色気より食気
鼻をつままれても分からないという真の闇(はなをつままれてもわからないというしんのやみ):【意味】誰かにいきなり鼻をつままれても、誰がいつやったのか分からないように、あたりが真っ暗であることの例え。(講談・豊志賀の怨念)
はねあがり者(はねあがりもの):【意味】出しゃばり。状況を考えずに勝手な振る舞いをする人のこと。(落語・錦の袈裟)
はねつけられればはねつけられるほど募るのは恋の意地(はねつけられればはねつけられるほどつのるのはこいのいじ):【意味】振られ、冷たくあしらわれるほどに、相手への執着が逆に深まっていくのが恋というものである、という意味の言葉。(講談・由井正雪)
母親は勿体ないがだましよい(ははおやはもったいないがだましよい):【意味】母親は泣きつけばすぐに金を出してくれたりわがままを許してくれたりするもので、甘える方も心の底で「済まない」と思いつつも一番安易な頼り先として利用してしまうのである。(講談・春風臆病問答)
母賢ならざれば其の子愚なり(ははけんならざればそのこぐなり):【意味】子のために三回転居した孟子の母ではないが、母親が馬鹿であると、子供はろくな者に育たない、という諺。(講談・堀部安兵衛、浜野矩随)
蛤は虫の毒(はまぐりはむしのどく):【意味】(参照)→「ちゅうちゅうたこかいな」同様、物の数をカウントするときのかけ声。伊勢富田の三すじという焼蛤屋の娘・お琴を巡る加納屋利三郎・上州熊五郎のさや当て、つまり荒神山の決闘の発端が起源であるということに、とりあえず講談の上の軽口ではなっているが、もちろん全くあてにはならない。(講談・清水次郎長、安政三組盃)
早起きは三文の得(はやおきはさんもんのとく):【意味】(同義・参照)→朝起きは三文の得に同じ。(落語・ろくろっ首、芝浜)
流行語は世につれる(はやりことばはよにつれる):【意味】世間の人々が好んで口にする言い回し、すなわち流行語は、時代とともに移り変わるものである、ということ。明治時代にはすでにこういう諺があった。(落語・高野違い)
腹が減り酒に酔うと人相が狂う(はらがへりさけにようとにんそうがかわる):【意味】空腹時と酩酊時には人相が平常時と変わるので、そういうときに人相を鑑定すると外れる、ということ。(講談・太閤記)
腹の減った時にまずい物なし(はらのへったときにまずいものなし):【意味】「空腹にまずいものなし」。腹が減っていると大抵のものはうまく感じる、ということ。(講談・笹野名槍伝、三家三勇士、落語・万金丹、雪の瀬川=夢の瀬川、唐茄子屋)(参照)→空腹にまずいものなし、名物にうまいものなし
腹は借物(はらはかりもの):【意味】宿った母の腹というのは一時の借り物であって、生まれた子が偉いかどうかは、種である父親如何である、という昔の諺。(講談・水戸黄門・出世の高松、落語・妾馬、橋場の雪=夢の瀬川)
腹も少し北山(はらもすこしきたやま):【意味】(講談・鼠小僧次郎吉、落語・三人旅、播州巡り)(参照)→少し腹が北山時雨を見よ。
腹も身のうち(はらもみのうち):【意味】腹も身体のうちだから大事にしなければいけない。=暴飲暴食は慎めという戒め。(落語・化物使い)
梁強くして家を倒す、忠義も過ぐれば主を害するに等し(はりつよくしていえをたおす、ちゅうぎもすぐればしゅうをがいするにひとし):【意味】(参照)→高梁(うつばり)強くて家を倒すを見よ。侍の意地を張り通すために御家に傷がついてはどうにもならない、という穏健派の意見。(講談・大石内蔵助)
針の筵に座るも一興、剣を抱いて寝るも一入(はりのむしろにすわるもいっきょう、けんをいだいてねるもひとしお):【意味】敵の卑怯な罠にむざむざおちたり、術中にはまったりして危険な目にあうのもまた面白いではないか、という善玉特有の余裕あるセリフの一部。(講談・笹野名槍伝、三家三勇士、寛永三馬術)
春浮気夏は元気で秋ふさぎ冬は陰気で暮れはまごつき(はるうわきなつはげんきであきふさぎふゆはいんきでくれはまごつき):【意味】「春陽気……」とも。四季おりおりの「き」を脚韻を踏んで狂歌にまとめたもの。「春椿夏は榎で秋楸(ひさぎ)、冬は梓で暮れは柊」を式亭三馬がもじった。(落語・掛取万歳、尻餅、狂歌家主、姫かたり)
春永になる(はるながになる):【意味】春の日のながい時に、(暮れのせわしいときなどではなく)もっとゆっくりできる時期に、ということ。(落語・芝浜、御慶、言訳座頭)
春の花、夏の涼みに秋の月、巡り来たったこの冬の雪(はるのはな、なつのすずみにあきのつき、めぐりきたったこのふゆのゆき):【意味】冬が到来したこと(あっという間に一年が経過したこと)をしみじみと振り返る時に使われる文句。(講談・寺坂吉右衛門)
春娘、夏は芸者で秋娼妓、冬は女房で暮れは権妻(はるむすめ、なつはげいしゃであきしょうぎふゆはにょうぼでくれはごんさい):【意味】「春椿……」の歌をさらに四季おりおりのお楽しみ相手に替えて歌ったもの。(落語・隅田の馴染め)
反間苦肉の計略(はんかんくにくのけいりゃく):【意味】敵同士が仲間割れを起こすような作戦のこと。「反間」は敵のスパイを逆利用して相手を陥れること、「苦肉」は一旦自分達を窮地に追い込んで反撃の好機を狙うこと。(講談・山中鹿之助、吉良屋敷替え、加賀騒動)
万山重からず君恩は重し、一髪軽からず我命は軽し(ばんざんおもからずくんおんはおもし、いっぱつかろからずわがめいはかろし):【意味】武士にとって主君の恩というのは山よりも重く、その前では自分の命などは髪の毛一筋よりも軽い。侍は身命を賭して奉公せねばならない、ということ。(講談・大石東下り)
萬卒は得易く、一将は得難し(ばんそつはえやすく、いっしょうはえがたし):【意味】万人の兵士を集めることはさほど困難ではないが、一軍の将たる人物を求めるのはとても難しい(から、有能な将軍を失うのは手痛い損害である)ということ。「番卒は……」と表記するものも。「萬卒は恐るるに足らず一人の智将は恐るべし」などともいう。(講談・寛永三馬術、猿飛佐助、田宮坊太郎、三家三勇士、山中鹿之助、西郷南洲、難波戦記冬合戦)
半ちくな(はんちくな):【意味】細工などが中途半端でものになっていないこと。職人の言葉。(落語・ちきり伊勢屋、たらちね、風呂敷、子ほめ、一ト目上り、饅頭こわい、立波、後の船徳=お初徳兵衛、雑俳、鮑のし)
番町にいて番町知らず(ばんちょうにいてばんちょうしらず):【意味】江戸時代、番町という町は区域が広大なので、そこの住民でさえ番町についてよく知らないほどである、ということ。現在の千代田区一~六番町、九段二~四丁目。ほとんどが旗本の屋敷だった。(落語・石返し)
万物の霊長たる人間が思いこんだら、その念が残らない限りはない(ばんぶつのれいちょうたるにんげんがおもいこんだら、そのねんがのこらないかぎりはない):【意味】いやしくも人間たるものが、一筋に誰かに惚れておもいつめたら、その強い一念が何らかの威力を表さないはずがない、ということ。格言ではない。(落語・三年目)(参照)→人間は万物の霊長
万々出世(ばんばんしゅっせ):【意味】通常「番々出世」と表記。順を追って諸仏がこの世に現れること。転じて、世の中の仕組みは年功序列に出来ているということ。(落語・淀五郎、一人酒盛)
萬夫不当の勇(ばんぷふとうのゆう):【意味】一万人が手向かいしてもかなわないほどの豪傑をいう。(講談・梁川庄八)
半間な(はんまな):【意味】半端な、間の抜けた。(講談・祐天吉松、落語・品川心中、塩原多助一代記)
萬緑叢中一点の紅(ばんりょくそうちゅういってんのくれない):【意味】見渡す限りの緑の中に目立って花一輪がある様子。たくさんの男性の中に、たった一人女性が混じっていること。紅一点。(講談・梁川庄八)
編:松井高志・2004-
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