[ひ]で始まる語句・ことわざ
日当りの畑で出来た人間(ひあたりのはたけでできたにんげん):【意味】「おめでたい」奴のこと。(落語・三で賽)
ひいきの引き倒し(ひいきのひきたおし):【意味】あまりにも過度に後援し、愛情を注ぎすぎて、かえって相手に害を及ぼしてしまうこと。(講談・幡随院長兵衛、鼠小僧次郎吉)
日蔭の豆も弾ける時分には弾ける(ひかげのまめもはじけるじぶんにははじける):【意味】どんなに目立たない(貧しい)環境にいる地味な娘でも、年頃になれば相応に色気づくものである、ということ。(講談・安政三組盃、落語・文七元結)《い》
引かれ者の小唄(新内節)(ひかれもののこうた):【意味】「引かれ者」とは刑場に引かれていく罪人のこと。すっかり絶望した罪人がやけになり、平静を装って小唄を唄うこと、敗者の負け惜しみのこと。(講談・梁川庄八、笹野名槍伝、祐天吉松、西郷南洲、加賀騒動、新吉原百人斬り)
彼岸の中の鯊は中気のまじないになる(ひがんのうちのはぜはちゅうきのまじないになる):【意味】俗信。「野ざらし」の主人公八五郎が、隣に住む浪人にこう言って鯊を釣ってきてくれと頼む。浪人は河原で髑髏を見つけて回向すると、その骨の主である美少女が夜になって礼にやってくる。(落語・野ざらし)
引き鳴らす甲斐こそなけれ村雀音ききなれて鳴子にぞ寄る(ひきならすかいこそなけれむらすずめおとききなれてなるこにぞよる):【意味】雀を除けるために設置した鳴子(音の出る仕掛け)の音に雀が慣れて何の効果もなくなってしまい、かえって鳴子をなめて近寄ってくるようになる様子をよんだ狂歌。度重なれば、単なる叱責や警告というものも効果が薄れる、ということ。けしからん者をただ繰り返し口先で叱っても限界があるということ。(落語・親子茶屋)
比丘尼に髭出せ(びくににひげだせ):【意味】とても応じられないような無理難題のたとえ。(講談・本所五人男)
庇を貸して本宅を取られる(ひさしをかしておもやをとられる):【意味】ちょっとした油断(人の良さ)から悪いやつにつけ込まれて、財産をそっくり奪われてしまうことの例え。(落語・庖丁)
膝とも談合(ひざともだんごう):【意味】困ったときは、自分の膝とでも相談しなさい、ということ。しょうもない相手に相談しても、それなりに意味はある、ということ。(講談・大高源五、小猿七之助、関東七人男、落語・泣き塩、ちきり伊勢屋、長崎の赤飯、阪東お彦=派手彦)
美酒佳肴(びしゅかこう):【意味】文字通りうまい酒、肴。結構な御馳走(もてなしの料理)。(講談・慶安太平記)
美人薄命(びじんはくめい):【意味】容貌の優れた女性は運命に妬まれるせいか、短命に終わることが多いということ。(落語・短命、大師の杵)(参照)→茂りやすい楊柳は秋の初風に堪えられぬ、才子多病
美人笑いを含めば一城を傾く(びじんわらいをふくめばいちじょうをかたむく):【意味】美人が色香で城や国を傾け亡ぼすこと。「漢書」に現れる表現から。遊女を「傾城」というのはここからきている。(講談・妲妃のお百)
左りの耳が痒し(ひだりのみみがかゆし):【意味】朝は右、夕方は左の耳が痒いと、良いことを聞くという俗信。(講談・本所五人男)
引っ越して三年は竹を入れない(ひっこしてさんねんはたけをいれない):【意味】新しい家に引き移って三年の間は、笹竹を使って暮れの十三日の煤払いをしない、という風習があった。(講談・大高源五)
非道の長者に二代なし(ひどうのちょうじゃににだいなし):【意味】阿漕なやり方をして大もうけした商家は、その繁栄が二代続かない、という教訓。(講談・清水次郎長)
人多き人の中にも人ぞなし、人になれ(せ)人人になれ人(ひとおおきひとのなかにもひとぞなし、ひとになせひとひとになれひと):【意味】上杉鷹山が作った? とされる道歌。この世の中に、たくさんの人がいるが、本当の人物と言える立派な人はなかなかいない。それぞれが本物の人たるべく努めなければならないし、そういう人を求めて交際すべきである、ということ。(講談・安政三組盃、伊賀の水月、太閤記)
人が増せば水増す(ひとがませばみずます):【意味】家族の数が増えれば、それに比例して出費も増加するという法則。(講談・相馬大作、大岡政談安間小金次、関東七人男)
人斬れば私も死なねばなりませぬそこで御無事に木脇差さす(ひときればわしもしなねばなりませぬそこでごぶじにきわきざしさす):【意味】赤穂義士・村松喜兵衛の作った狂歌。侍は人を斬れば、自分も無事では済まない。そこで何事も起こらないように、自分は木刀をさしているのである、という意味。いわゆる「義士」の中にも、「刃傷」に対してこのように突き放したような視点があったということが面白い。(講談・村松喜兵衛、赤穂義士本伝)
一声と三声は売らぬ卵売り(ひとこえとみこえはうらぬたまごうり):【意味】物売りが売り歩く時の売り声。卵は商品名を二回連呼し、一回や三回では売り歩かない。(落語・道具屋)
人ごとに一つの癖はあるものをわれには許せ敷島の道(ひとごとにひとつのくせはあるものをわれにはゆるせしきしまのみち):【意味】慈円の作った歌。人には必ず癖というものがあるのだから、自分が歌を作るくらいのことは許してもらいたい、という意味。落語では、人それぞれいろいろな癖があるという意味で引用される。(講談・難波戦記、落語・小言幸兵衛、九段目、正直清兵衛=もう半分)(参照)→十人寄れば気は十色
人盛んなる時は天も暫く是を置く(ひとさかんなるときはてんもしばらくこれをおく):【意味】人間(往々にして悪人)が勢いに乗っているときは、天もしばらくの間はこれを看過せざるをえない、ということ。「~神も仏も罰することができぬ」とも。(講談・おこよ源三郎、関東七人男、落・牡丹燈籠)(参照)→悪盛んなるときは天に勝ち、天定まって人に勝つ、凡夫盛んなる時は神も祟りなし、人さかんなれば天にかつ
人さかん(熾ん)なれば天にかつ(克ち、天定まって人に克つ)(ひとさかんなればてんにかつ):【意味】前項に同じ。(講談・両越大評定、薮原検校)(参照)→悪盛んなるときは天に勝ち、天定まって人に勝つ、凡夫盛んなる時は神も祟りなし、人盛んなる時は天も暫く是を置く
人死する時に死せざれば、死に勝る恥あり(ひとしするときにしせざれば、しにまさるはじあり):【意味】人間は往生際が大事である、ということ。死ぬべき時に、悪あがきをして生き延びようとすると、ただそこで死んだよりもひどい恥をかくことになる、という意味。(講談・三家三勇士、国定忠治)(同義)→死すべき時に死なざれば却って恥多し
一つ叶えばまた二つ(ひとつかなえばまたふたつ):【意味】人間の願望には際限がない、ということ。「一つよければまた二つ」とも。(講談・矢田五郎右衛門、落語・うそつき弥次郎)
一つ違いは金の草鞋で捜してもねえ(ひとつちがいはかねのわらじでさがしてもねえ):【意味】男女の年齢差が一つ違いというのはもっとも釣り合いが取れて相性がよいので、そのような組み合わせは願ってもない良縁である、ということ。(落語・宮戸川)(参照)→鉄の草鞋を履いて探す
一つ鍋のものを食った友達(ひとつなべのものをくったともだち):【意味】同じ鍋をつつくような、家族同然の仲の良いつきあい、ということ。(落語・大山詣り、化物使い)
人として礼なきは禽獣に近し(ひととしてれいなきはきんじゅうにちかし):【意味】礼儀・常識を弁えない者は、人としての資格がなく、むしろ動物と呼ぶ方がふさわしい。(落語・牛ほめ)
人とつき合う時は三者とつき合え(ひととつきあうときはさんしゃとつきあえ):【意味】人と交際するならば、役に立つ「者」のつく三種の人を選ぶべきだという実際的な教訓。「三者」とは医者、福者、智者のこと。(講談・天保六花撰、慶安太平記)
人取る亀は人に取られるは自業自得、因果応報(ひととるかめはひとにとられるはじごうじとく、いんがおうほう):【意味】他人を陥れようとはかって、かえって自分が罪に落ちるのは当然の報いである、ということ。(講談・天保六花撰)
人に口を利くなら仲人口(ひとにくちをきくならなこうどぐち):【意味】人にものを言うなら、相手のいいところをことさらにほめあげるのが当たり前だ、ということ。(落語・子別れ)
人に死生あるは一日に昼夜の別あるが如し(ひとにしせいあるはいちにちにちゅうやのべつあるがごとし):【意味】人に生き死にという運命があるのは、一日に昼と夜とがあるように自明の真理であるから、いかなる貴人であろうと逃れがたい宿命なのである、という言葉。(講談・赤穂義士本伝)
人には添うてみよ、馬には乗ってみよ(ひとにはそうてみよ、うまにはのってみよ):【意味】自分と相性がいいか悪いか、また相手の本当の性格というのは、外面的なつきあいでは分からない。とにかく親しくつきあってみなさい、ということ。なんでも実際に試してみなければ価値は分からない、という意味でもある。(落語・三人旅、皿屋、とろろん、仔猫:前後句逆)
人の過ちは好んで人の師となるにあり(ひとのあやまちはこのんでひとのしとなるにあり):【意味】頼まれないのに(いや、仮に頼まれたとしても)人に物事を教えてやろう、押しかけ師匠になろうという気持ちになると、人はやきが回ったということである、という名言。(講談・近江聖人)
人の噂も七十五日(ひとのうわさもしちじゅうごにち):【意味】何事であれ、世間の人がスキャンダルとしてあれこれ取りざたするのはせいぜい七十五日で、あとはきれいさっぱり忘れ去ってしまうものだ、という諺。「七十四日」という歌の文句もある。(講談・寛永三馬術、伊賀の水月、和久半太夫、小山田庄左衛門、面割狂言、天保六花撰、幡随院長兵衛、由井正雪、名月若松城、汐留の蜆売り、本所五人男、落語・猫定、汲みたて)
人の口には戸が立てられぬ(ひとのくちにはとがたてられぬ):【意味】(口さがない)世間の噂というのは防ぐことができない、という諺。(講談・安政三組盃、幡随院長兵衛、藤原銀次郎、祐天吉松、落語・後家殺し)
人の恋路の邪魔する奴は犬に食われて死ねば良い(ひとのこいじのじゃまするやつはいぬにくわれてしねばよい):【意味】他人の恋愛に水を差すような野暮な者は、犬にでも食われて死んでしまうべきである、黙って見守ってやれということ。「馬に蹴られて死ねば良い」という場合もある。(講談・梁川庄八、関東七人男、落語・梅若礼三郎、入黒子、胆潰し)
人の死ぬときには四苦八苦の苦しみがある(ひとのしぬときにはしくはっくのくるしみがある):【意味】ここでいう「四苦八苦」は非常な苦しみをいう。(落語・朝友)
人の性は善なり(るもの)(ひとのせいはぜんなり):【意味】人間は本来、善い性質を持って生まれてくるものなのだという主張。いろいろ悪事を働いても、最終的には持って生まれた善の力で改心するのである。「人の性は本善」。(講談・神崎与五郎、両越大評定、天保六花撰、名匠源八、岩見重太郎、越後伝吉、赤穂四十七士伝、妲妃のお百、安中草三郎、落語・二十四孝、夏どろ、唐茄子屋)
人の性は本善(ひとのせいはほんぜん):【意味】前項と同じ。人間は元々善なる性質を持っている。(落語・反魂香)
人の善悪は柩を蓋うてはじめて知る(ひとのぜんあくはひつぎをおうてはじめてしる):【意味】人間の本当の善悪・価値は亡くなって柩の蓋を閉じる時になって初めて分かるものだから、その存生中に評価を下すのは早すぎる、ということ。杜甫の詩「大夫 棺を蓋いて事始めて定まる」を連想させることわざ。(講談・木村岡右衛門)
他人の前ではくさしているが、逢えば他人が邪魔になる(ひとのまえではくさしているが、あえばたにんがじゃまになる):【意味】都々逸。女は人がいる前では惚れた男のことをけなし、嫌っているふりをするが、当の相手と会う時には逆に他人が邪魔で仕方がないものだ、ということ。(講談・新門辰五郎)
人の将に死なんとするとき、その言うことや良し(ひとのまさにしなんとするとき、そのいうことやよし):【意味】(参照)→鳥の将に死なんとする其の声悲し、人の将に死なんとする其の言うことや善しを見よ。(講談・笹野名槍伝)
人は天が下の御霊(ひとはあめがしたのみたま):【意味】(参照)→人間は万物の霊長である、ということ。(落語・羽衣)
人は一代、名は末代(ひとはいちだい、なはまつだい):【意味】人の身は一代で亡びるが、名は永く後代まで残る、という意味の言葉。(講談・寛永三馬術、伊達誠忠録、梶川与惣兵衛、猿飛佐助、木村長門守、岩見重太郎、難波戦記冬合戦、落語・転宅、三人旅、龍の都、百川、嵩谷)(参照)→武士は名をこそ惜しめ《い》
人は氏より育ち(ひとはうじよりそだち):【意味】人は氏素性の善し悪しよりも、生まれ育った環境次第で人格形成がなされるのだ、ということ。従ってどんなに高貴な生まれでも下司な奴がいるし、卑賤の生まれでも精神の美しい者がいるのである。(講談・水戸黄門)
人は気で気を病む(ひとはきできをやむ):【意味】人間は他人から見ればどうでもいいようなことを気にして苦しむ(心労に悩む)ものだ、自分からわざわざ心配の種を探して歩くようなところがある、ということ。(落語・欲しい物覚え帳)
人は客、おれはまぶだと思う客(ひとはきゃく、おれはまぶだとおもうきゃく):【意味】遊女買いの客というのは、他の客はただの客で、自分はその女に惚れられていると自惚れているものである、という諺。(落語・文違い)(参照)→自惚れと瘡っ気のない奴はいない
人は死して名を残し、虎は死して皮を残す(前後句逆あり)(ひとはししてなをのこし、とらはししてかわをのこす):【意味】虎が死んでも、その皮が大事にされるように、人は仮に死んでも、名誉や功績が残って輝くのである、という諺。(講談・寛永三馬術、猿飛佐助、左甚五郎、落語・転宅、動物園:後半のみ、佐々木政談、龍の都、百川)
人はただ仲よきうちに遠ざかれ名残り惜しきをのちの形見に(ひとはただなかよきうちにとおざかれなごりおしきをのちのかたみに):【意味】美しく慎ましい人付き合いのあり方をいう道歌。人とは仲の良いうちに、それとなく疎遠になっておくべきである。親しみすぎて、我執が元で醜い争いや気まずい思いをする前に、お互い親しみ合う気持ちを持ちながらすっと別れるというのがもっとも賢明なのだ、という意味。(講談・正直車夫)
人は楯人は石垣人は堀、情けは味方仇は敵なり(ひとはたてひとはいしがきひとはほり、なさけはみかたあだはてきなり):【意味】「武田節」の一節。国内に城を築かなかった武田信玄のポリシーであるという(歌詞は原典のまま)。(講談・夕立勘五郎、国定忠治)
人は眉目よりただ心(ひとはみめよりただこころ):【意味】人の価値は外見の善し悪しではなく、なによりも心根の善し悪しに尽きるということ。(落語・心眼)
人は病の器(ひとはやまいのうつわ):【意味】人間というのは何かしらの理由で病気を持っている、ということ。(講談・水戸黄門、岡野金右衛門、曾呂利新左衛門、笹野名槍伝、玉菊燈籠、新吉原百人斬り、落語・代脈、薬違い、悔みの妙薬=胡椒の悔み、金玉医者)
人学ばざれば智なし、玉磨かざれば光なし(ひとまなばざればちなし、たまみがかざればひかりなし):【意味】仮に優れた才能を持っていても、修養なしで立派な人物になることはできない、という例え。(講談・猿飛佐助)
一人口は食えないが二人口は食える(ひとりぐちはくえないがふたりぐちはくえる):【意味】独身では生計が立てられなくても、たとえば結婚して二人で暮らせば生計が立つようになる、という諺。(落語・搗屋幸兵衛、小言幸兵衛、たらちね、裸の嫁入り:前後句逆、塩原多助一代記)
一人船頭一人芸者(ひとりせんどうひとりげいしゃ):【意味】一艘の屋根船に一人の芸者と一人の船頭が乗ることは、不埒な船頭による犯罪の元になりかねないため、御法度になっていた。(講談・小猿七之助)
独り者猫を相手に酒を飲み(ひとりものねこをあいてにさけをのみ):【意味】独身者(男)は、構ってくれる者もなく、一人猫に話しかけながら酒を飲んだりする、という状況をいう川柳。(講談・寛永三馬術)
人若き時心未だ定まらず(血気まさにさかんな時)、之を慎むこと色にあり(ひとわかきときこころいまださだまらず、これをつつしむこといろにあり):【意味】若い男は色欲に迷い、将来を誤ることがあるので身を慎まねばならない、ということ。(講談・堀部安兵衛、天保六花撰)(同義)→血気未だ定まらずこれを戒むる色にあり
人を恨もうより我が身を恨め(ひとをうらもうよりわがみをうらめ):【意味】自分の不運・薄幸は他人のせいだと、他に責任を求めてひたすら恨むよりも、自分の薄命・至らなさのせいだと考えるべきである、より身を慎め、という戒め。(講談・仏の作蔵)
人を殺すには腹を刺せ(ひとをころすにははらをさせ):【意味】国定忠治が子分に教えた人斬りの極意より。千葉周作が伝授したという。手や足を斬ってもだめ。腹を刺して一えぐりすればとどめが刺せる、というもの。(講談・国定忠治)
人を助ける(救う)のは出家の役(ひとをたすけるのはしゅっけのやく):【意味】人助けは僧侶の職務である、ということ。人の難儀を見て見ぬふりをするなどもってのほかである。(講談・仏の作蔵、妲妃のお百、新門辰五郎、安中草三郎、落語・いが栗、雁捕り)(参照)→出家は人を助ける役
人をつかえば苦を使う(ひとをつかえばくをつかう):【意味】人を雇い、働かせるのには苦労というものが絶えず、まるで苦を使っているようなものだという比喩表現。(講談・薮原検校、落語・百年目)(参照)→人を使えば使われる
人を使えば使われる(ひとをつかえばつかわれる):【意味】商家などで人を使って働かせると、主人には気苦労の絶えることがない。結局他人に使われているようなものなのだ、という諺。(講談・紀伊国屋文左衛門、落語・位牌屋、権助提灯、百年目、按摩の炬燵他多数)(参照)→人をつかえば苦を使う
人を呪わば(祈らば)穴二つ(ひとをのろわばあなふたつ):【意味】人を呪い殺そうとすると、自分もその報いで倒れることになるので、相手を埋める穴と、もう一つ自分の墓穴も掘っておかなくてはおけない、ということ。人を恨むな、という戒め。(講談・宮本武蔵、猿飛佐助、落語・悋気の火の玉、御神酒徳利)
人を見たら泥棒と思え、火を見たら火事と思え(ひとをみたらどろぼうとおもえ、ひをみたらかじとおもえ):【意味】(参照)→旅に出たら火を見たら火事と思え、人を見たら泥棒と思え、道中で人を見たら盗賊と思え、火を見たら火事と思えを見よ。人を軽々しく信用するな、という教え。(講談・清水次郎長、野狐三次、越後伝吉、落語・出来心)(反対)→渡る世間に鬼はなし
人を見て法を説け(ひとをみてほうをとけ):【意味】相手の人柄に応じた話し方をしなければ、効果はないということ。(落語・お化け長屋)
人我に辛ければ、我また人に辛し(ひとわれにつらければ、われまたひとにつらし):【意味】他人に辛く当たられれば、心が殺伐としてきて、自分も他人に辛く当たるようになる、というのもある程度自然な人情である、ということ。(講談・梁川庄八、祐天吉松)
日に三度下女恋人に実を見せ(ひにさんどげじょこいびとにじつをみせ):【意味】飯の給仕をする下女が、憎からず思う相手に、飯のたびにそれとなく盛りを多くしたりして好意を示す(他に気持ちの伝えようもない)ということを意味する川柳。(講談・笹川繁蔵)
火のないところに煙は立たぬ(ひのないところにけむりはたたぬ):【意味】ある人について、噂が立っているからには、そこにそれなりの、なんらかの根拠となる事実がないはずがないではないか、という意味の例え。(講談・鯉の久三、落語・後家殺し、お化長屋)
日の本は岩戸神楽の始より女ならでは夜の明けぬ国(ひのもとはいわとかぐらのはじめよりおんなならではよのあけぬくに):【意味】「古事記」にある天の岩戸の神話の昔から、日本は女性がいなければ夜が明けない(物事が始まらない)国であるという、女性に対するヨイショの歌。(落語・新治療=疝気の虫)
火鉢のそばで爪を切ると気違いになる(ひばちのそばでつめをきるときちがいになる):【意味】切った爪が火鉢に入ると嫌な匂いがするのでこういうのである、という。(落語・佃祭)(参照)→夜爪を取ると気違いになる
ひびたけ(ひびたけ):【意味】亀裂のこと。(落語・お直し、坊主の遊び)
日文矢文の取替せ(ひぶみやふみのとりかわせ):【意味】恋人同士などが連日のように手紙をやりとりして相手に思いのたけをあらわすこと。連日の書簡往来。(落語・お茶汲み)
非望の欲(ひぼうのよく):【意味】身分に不相応な欲のこと。(落語・御慶)
ひもじさと寒さと恋をくらぶれば恥ずかしながらひもじさが先(ひもじさとさむさとこいをくらぶればはずかしながらひもじさがさき):【意味】空腹のつらさを表現した狂歌。寒いのと、恋愛の切なさとを比較しても、腹が減るというのはダントツでつらく惨めであり、耐え難いのだということ。(講談・西行鼓ヶ瀧、落語・万金丹)
素見千人客百人、間夫が十人地色一人(ひやかしせんにんきゃくひゃくにん、まぶがじゅうにんいろひとり):【意味】遊女にとっての男というもののありかたをいう言葉。自分を「ひやかしていく客」は千人、ただの客は百人、情夫が十人いるとして、心に決めた本当の情人が一人という割合である、ということ。(落語・文違い)
百が味噌、二百が薪、二朱の米、一分自慢の年の暮れかな(ひゃくがみそ、にひゃくがたきぎ、にしゅのこめ、いちぶじまんのとしのくれかな):【意味】主に職人の家で、百文分の味噌、二百文分の薪、二朱の米、一分の金があれば、歳末としては大いばりの経済状況だ、ということ。(落語・山崎屋)
百姓は国の宝(ひゃくしょうはくにのたから):【意味】(参照)→「農は国の基」であるというくらいであるから、農民は国家にとって大事な存在であるという教訓。(講談・安中草三郎)
百日の説法屁一つ(ひゃくにちのせっぽうへひとつ):【意味】長い間の苦労が、ちょっとしたミスのために全部台無しになってしまう例え。(講談・小山田庄左衛門、落語・浮世床、金玉医者)
百聞は一見に如かず(ひゃくぶんはいっけんにしかず):【意味】何度も伝聞するより、実際に一回でも自分の目で見た方が確かである、という諺。(講談・三家三勇士、落語・京見物)
百万石も剣菱も摺れ違うたる江戸の街(ひゃくまんごくもけんびしもすれちごうたるえどのまち):【意味】「百万石も痃癖も……」を言い換えたものか。百万石の大名も、「剣菱」の薦をかぶった乞食も、繁華する江戸の往来には、あらゆる階層の人々がゆきかうということ。「百万石も按摩取りも……」ともいう。「剣菱」は酒の銘柄。(落語・首提灯、盃の殿様、姫かたり)
百も承知二百も合点(ひゃくもしょうちにひゃくもがてん):【意味】充分承知している=「百も承知」の強調表現。(落語・茶釜の喧嘩)
百里の堤も蟻の一穴から破れる(ひゃくりのつつみもありのいっけつからやぶれる):【意味】(参照)→千丈の堤も蟻の一穴より破れる、大家の焼亡も一爐に始まるを見よ。(講談・相馬大作)
百両のかたに編笠一蓋(ひゃくりょうのかたにあみがさいちがい):【意味】「百貫のかたに編笠一蓋」ともいう。貸した金額に対して抵当があまりに安いということ。(講談・天明白浪伝、小林平八郎、関東七人男、落語・井戸の茶碗、はてなの茶碗、井戸の茶碗)
瓢箪から駒(ひょうたんからこま):【意味】意外なところから意外なものが現れること。または冗談が現実になることをいう。(講談・曾呂利新左衛門、朝顔日記)《い》
兵六玉(ひょうろくだま):【意味】「表六」ともいう。「まぬけ」と相手のことを罵倒するときに使う。(落語・巌流島)
昼鳶(ひるとんび):【意味】昼日中、商店の店頭から品物をかすめ盗るケチな盗人のこと。または掏摸のこと。(講談・赤穂四十七士伝)
昼は終日夜は終夜(ひるはひねもすよはよもすがら):【意味】一日中、一晩中。昼夜兼行ぶっとおしで延々と、の意。(講談・水戸黄門、赤穂四十七士伝、関東七人男)
微禄をする(びろくをする):【意味】落ちぶれる(金持ちが零落する)こと。(落語・ちきり伊勢屋)
ひろびろと心せわしき野ぐそかな(ひろびろとこころせわしきのぐそかな):【意味】あまりにも見晴らしの良い開けた場所で野糞を垂れていると、かえって落ち着かないものだ、という意味の川柳。(落語・三人旅)
貧すれば鈍す(る)(ひんすればどんする):【意味】「貧には知恵の鏡も曇る」と同義。貧乏すると人の頭も冴えなくなる。発想も貧困になる、ということ。(講談・水戸黄門、出世の富籤、天保六花撰、大高源吾、落語・算段の平兵衛、帯久、怪談市川堤)(参照)→藁打ちゃ手を打つ、泣きっ面に蜂、弱り目にたたり目
貧の盗みに恋の歌(ひんのぬすみにこいのうた):【意味】貧乏すると人は泥棒もするようになる。恋をすれば歌を詠むようにもなる。必要とあれば人間なんでもやる、ということ。(講談・後藤半四郎、野狐三次、落語・穴泥)《い》
貧の盗みの出来心(ひんのぬすみのできごころ):【意味】貧乏に追い詰められ、つい魔がさして盗みをはたらくこと。根っからの泥棒ではない、という自己弁護。(落語・穴泥、出来心)
貧は諸道の妨げ(ひんはしょどうのさまたげ):【意味】お金がないと何事をするにも思うようにいかない。貧しさは何事につけ妨げとなる、ということ。(講談・寺坂吉右衛門、梅ヶ枝仙之助、天保六花撰、幡随院長兵衛、小林平八郎)
貧乏人の子沢山(びんぼうにんのこだくさん):【意味】よく「律義者の子沢山」(落・安産など)というが、これは品行が正しく家庭生活に破綻がないから。貧乏人は遊興しようがなく、必然的に律義者にならざるを得ないのである。または貧しい者には子宝という財産がある、ということ。(講談・天下の糸平、落語・お七)
貧乏人の節句働き(びんぼうにんのせっくばたらき):【意味】人が休むときも、貧しい者は働かなければ生きて行けない。貧乏暇なし。(講談・新吉原百人斬り)
貧乏暇なし(びんぼうひまなし):【意味】貧しい者は生活に追われ、暇などはない、ということ。(講談・祐天吉松、落語・山号寺号、三人旅、文七元結、雁捕り、お若伊之助)《い》
貧乏をしてもこの家に風情あり質の流れに借金の山(びんぼうをしてもこのやにふぜいありしちのながれにしゃっきんのやま):【意味】貧乏な暮しをやせ我慢して「ああ、風流だ」と強がる狂歌。貧乏な家にも山や川がある。(落語・野ざらし)
編:松井高志・2004-
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