[も]で始まる語句・ことわざ
盲亀の浮木優曇華の花待ち得たる今日只今(もうきのふぼくうどんげのはなまちえたるこんにちただいま):【意味】「もっきの~」とも読む。仇討ちをしようと長年辛苦を重ねて相手を探してきた者が、遂にめぐりあった仇に対して名乗りかけるときの常套句。目の見えない亀が泳ぎ疲れて大海で浮き木に偶然めぐり合い、その穴に入ろうとし、また三千年に一度咲くという優曇華の花に遭遇したような、願ってもない絶好の機会であるということ。「いざ尋常に勝負勝負」と続く。(講談・幡随院長兵衛、太閤記、祐天吉松、赤穂四十七士伝、宮本武蔵、落語・高田の馬場、花見の仇討)
猛虎の群羊を駆るが如く(もうこのぐんようをかるがごとく):【意味】精鋭・強豪(小勢であっても)が弱い軍勢(数が多くても)を蹴散らして快勝する様子を表す言葉。(講談・太閤記、湖水乗切り)
杢が割れる(もくがわれる):【意味】「目算が割れる」こと。隠してきた悪事(悪だくみ)が露見すること。(講談・安政三組盃)
もぐらの手招きあっちへおいで(もぐらのてまねきあっちへおいで):【意味】もぐらの手は外を向いている。その手招きは逆にあっちへ行け、という意味になる。(講談・岩見重太郎)
文字知らざれば理に疎し(もじしらざればりにうとし):【意味】読み書きができないとものごとの道理、世の中の仕組みを知ることができないので辛い、ということ。「物書かざれば・書を読まぬ者は……」とも。(講談・慶安太平記、落語・代脈)(参照)→字を書かざれば理に疎し
持ち合わせ(もちあわせ):【意味】たまたま手元にある盃を、来客にさすこと(特にその客のために誂えたものではない、ということ)。「~ですまないが、まず一杯」などという。(落語・お藤松五郎)
用いるときは鼠も虎の如く、用いざるときは虎も鼠の如く(もちいるときはねずみもとらのごとく、もちいざるときはとらもねずみのごとく):【意味】たとえば金というものは、あればあったでどうとも思わないが、なくなると極めて不自由なものである、というような時に使われる例え。(講談・寺坂吉右衛門)
餅に搗く(もちにつく):【意味】鳥が「とりもち」につくこと。扱いかねる、もてあますこと。(講談・梁川庄八)
餅屋は餅屋(、素人了簡畑水練は役に立たぬ)(もちやはもちや):【意味】「餅は餅屋」のこと。物事にはその筋の専門家というものがいて、その人に任せておけば間違いはない。素人が余計な差し出口を利いても役には立たない、という諺。(講談・安政三組盃、梅ヶ枝仙之助、亀甲縞治兵衛、太閤記、落語・山号寺号、明烏、紺屋高尾、雪の瀬川=夢の瀬川、阪東お彦=派手彦)《い》
勿体ねえ勿体ねえでみんな嘗めた(もったいねえもったいねえでみんななめた):【意味】>昔の戯れ歌の文句。意地汚い酒飲みがこぼれた酒をみんななめてしまう様子。(落語・素人鰻)
(金を)持ったが病(もったがやまい):【意味】なまじ金などを中途半端に持っているので、遊びに使ってしまって身を滅ぼす原因になるのである、ということ。(講談・清水次郎長、音羽丹七、夕立勘五郎、加賀騒動、新吉原百人斬り、緑林五漢録、落語・子別れ、蒟蒻問答、お直し、しめこみ)
持つべきものは友達(もつべきものはともだち):【意味】困ったときに相談に乗ってくれ、また力を貸してくれるのは友達だ、という言い回し。(落語・薬違い)
もてんとすべからず、振られずとすべし(もてんとすべからず、ふられずとすべし):【意味】廓ではもてようと思ってはいけない、振られないように振る舞うのが、急がば回れでもっとももてる近道なのである、という金言。(落語・五人廻し)
本木に優る末木なし(もときにまさるうらきなし):【意味】男女の間についていう諺。最初の(結婚)相手がやはり後のよりも良いものだ、ということ。(講談・加賀騒動、汐留の蜆売り、落語・子別れ、皿屋、真景累ヶ淵)《い》
資本いらずの掴み取り(もとでいらずのつかみどり):【意味】元手を必要としないので、売り上げがそのまま利益となるぼろい商売のこと。たとえば泥棒やライターや僧侶。(落語・出来心)
元の木阿弥(もとのもくあみ):【意味】一旦富や権力を得た者が再度落ちぶれ、元のすっからかんに戻ること。(講談・富蔵藤十郎、落語・芝浜、お直し)
もの言う花の名義空しからず(ものいうはなのめいぎむなしからず):【意味】「もの言う花」とは遊女のこと。茶坊主・珍斎が殿様に浮世絵を見せ、華麗きわまる遊郭の模様を教えるくだりに出てくる表現。(落語・盃の殿様)
物言へば唇寒し秋の風(ものいえばくちびるさむしあきのかぜ):【意味】松尾芭蕉の句。人前で物を言うと、ついつい余計なことまで口走り、後悔しがちである、の意。(落語・入黒子、京見物)
物言わぬは腹ふくるるわざなり(ものいわぬははらふくるるわざなり):【意味】「大鏡」や「徒然草」に出てくる言い回し。ただし講談では、飯を食い過ぎて破門になってしまった力士・小車(後の横綱・阿武松緑之助)に、彼を救った旅籠の亭主・橘屋善兵衛が、「悩みがあるなら私に話してごらんなさい」と言うセリフの中で、「うちの親戚の清少納言もこう言っている」と引用する。悩みや言いたいことを胸にしまいこんで我慢していると精神衛生によくない、ということ(まぁ概ねそういうこと)。(講談・阿武松緑之助)
物書いて卑しうしたる扇子かな(ものかいていやしうしたるせんすかな):【意味】白扇になまじ下手な字でつまらない詩句などを書くと、白いままの方がましであり、扇子を汚してしまうだけだから、頼まれたからといって調子に乗って扇に字など書くものではない、ということをいう川柳。(講談・朝顔日記)
物事は隠すより現わるるはない(ものごとはかくすよりあらわるるはない):【意味】隠したいと思う事ほど他人にばれやすいということ。(講談・宮本武蔵)
物事は三度考えて言うもの(ものごとはさんどかんがえていうもの):【意味】身分ある人物というのは、言葉を口にするなら、三回考えてからにすべきである。軽率に発言すべきではない、という教訓。(講談・乃木将軍)(参照)→君子は三思一言
物に為(し)て為(さ)する礼あり(ものにしてさするれいあり):【意味】何かを求めるのであれば、必ずそれに見合った代償を支払う必要がある、世の中はギブ・アンド・テイクである、という諺。(講談・伊賀の水月、祐天吉松)
物には謝するの礼あり(ものにはしゃするのれいあり):【意味】心ばかりでも、感謝のしるしとして、物を差し上げたりして礼をするのが人の道であるということ。(講談・勤王芸者)
武士(もののう)の鶯聞いて立ちにけり(もののうのうぐいすきいてたちにけり):【意味】俳人・子葉としても有名な赤穂義士・大高源五が、俳句を始めてすぐに作ったもの。鶯の声を聞いて、武芸のたしなみある侍が思わず立ち上がるというもの。(講談・大高源五)
物は当たって砕けろ(ものはあたってくだけろ):【意味】物事は成るか成らぬかあらかじめ分かるものではない。何でも結果を考えずに思い切ってやってみることが大事である、という教え。(講談・あやめ人形、国定忠治、西郷南洲、落語・城木屋)
ものは器で食わせる(ものはうつわでくわせる):【意味】夜鳴き蕎麦屋をおだてまくったあげく、釣り銭をごまかして風のように去る要領のいい男のセリフに含まれる格言。おまえのところは良い丼を使っている、と褒めるとき、食い物は盛る器の善し悪しが大事だ、という意味で言う。(落語・時そば、雪の瀬川)
物見高いは江戸(っ子)の常(習い)(ものみだかいはえどのつね):【意味】好奇心旺盛で何でも見物したがるのが江戸の人々の気質である、という諺。(講談・荒木又右衛門、名人小団次、出世の富籤、相馬大作、鈴木重八、落語・花見の仇討)(参照)→義を好むは江戸の常
物見高いは都の常(ものみだかいはみやこのつね):【意味】(参照)→物見高いは江戸の常を見よ。(落語・たがや)
物申す花に迷うやはな明り(ものもうすはなにまようやはなあかり):【意味】堅物の男も雰囲気次第で簡単に浮き草稼業の女に迷う、ということ。(講談・おこよ源三郎)
桃栗三年柿八年、柚は九年でなり下がる(ももくりさんねんかきはちねん、ゆずはくねんでなりさがる):【意味】桃、栗、柚のそれぞれが、発芽から実を結ぶまでに要する期間をいう諺。(落語・長刀傷)《い》
もやいにする(もやいにする):【意味】共同で何かを行う、何かを所有すること。(落語・宝萊)
貰うものなら元日の葬式でも断らない(もらうものならがんじつのそうしきでもことわらない):【意味】くれるものなら何でももらう強欲な人を揶揄して言う言葉。元日に葬式というような縁起でもないものでも、くれるものは断らないというケチ(守銭奴)を形容してこのようにいう。(講談・鼠小僧次郎吉)(参照)→くださる物なら夏も小袖
門前市をなす(もんぜんいちをなす):【意味】ある家に出入りする人が多い様子。つまり、そこの商売が繁盛していることをいう。(講談・名医と名優、由井正雪、慶安太平記)(反対)→門前雀羅
門前雀羅(もんぜんじゃくら):【意味】「門前雀羅を張る」の略。「史記」より。訪問者がなく、雀を捕らえる網を張ることができるくらい寂れすたれた家をいう。(講談・名医と名優)(反対)→門前市をなす
門前の小僧習わぬ経を読む(もんぜんのこぞうならわぬきょうをよむ):【意味】いつも見聞して慣れているので、知らないうちにそれを覚えて学ぶようになるということ。(講談・関東七人男、田宮坊太郎、天下の糸平、三家三勇士、越後伝吉、落語・死神、狂歌家主)(同義)→勧学院の雀は蒙求をさえずる《い》
編:松井高志・2004-
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